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【徹底解剖シリーズ】前年比2.7倍。急増する訪日クルーズ船ツアーの実態に迫る

国土交通省によると、2015年の訪日クルーズ旅客数は、2014年の2.7倍となる111.6万人に上るという報道がありました。2015年の合計訪日客数は1,973.7万人なので、全体の約5.6%がクルーズ船ツアーによって訪日しているということになります。

主な寄港先は、博多や長崎、那覇をはじめとする九州以南のルート。我々が把握している一次情報として、韓国からの訪日クルーズ船ツアーは熊本地震の影響でキャンセルが相次ぎ、7月〜8月の殆どのツアーがキャンセルになっている旅行会社もありました。

2016年6月には経済産業省の公示案件として「九州地方の魅力発信による消費拡大事業」がテーマとして設定され、我々インバウンドマーケティング本部に対して一般の企業様からも訪日クルーズ船ツアーについて問い合わせが来るなど、訪日クルーズ船ツアーの関心が極めて高まっていると感じました。

訪日クルーズ船ツアーは、一体どのようなツアーになっているのか?どのようなルートを通り、費用は幾らくらいなのか?今回の INBOUND RESEARCH .jp では、急激な成長をみせるクルーズ船ツアーの実態について、徹底解剖いたします。

訪日クルーズ船ツアーの歴史

中国から訪日するクルーズ船ツアーは、2007年にコスタ・クルーズというイタリアに本社を置く会社が日本ツアーを始めたとされています。日本最初の寄港地は、博多港。当時のクルーズ船ツアーは豪華客船に乗って旅行をする富裕層を顧客として設定して始まったようです。

訪日クルーズ船ツアーの客数推移

当初富裕層を顧客として想定したものの、実際に利用者数として大きな伸びを見せ始めたのは、富裕層ではない一般層を顧客に変え、チャーター運行が増えていった2012年頃。その後、2014年, 2015年 と2年連続で2倍以上の成長を遂げています。訪日の団体バスツアーで、バス1台に乗っている訪日客は25~40名くらいなのですが、クルーズ船ツアーはなんと1隻あたり、3,000〜4,000人が乗船しています。

そのため、訪日クルーズ船ツアーによる経済効果は非常に大きなインパクトがあります。訪日クルーズ船ツアーが寄港する近くのショッピングモールには事前に張り紙がされ、バスの駐車場が貸切状態になるなど、地元に住まれている住民の方々にとって良くも悪くもお祭り状態になっているようです。

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訪日クルーズ船ツアーの寄港場所

訪日クルーズ船は、主な寄港先の港としてはどのエリアに停泊しているのでしょうか?国土交通省が発表している「外国船社が運航するクルーズ船の寄港回数」によると、九州以南へ偏って就航していることが分かります。

2016-06-20 寄港場所

訪日クルーズ船ツアーの内部構造

3,000〜4,000人が1隻に乗っていると上述しましたが、旅行会社は、膨大な人数をどのように管理し、どのようにツアーを催行しているのでしょうか?弊社が提携しているフェリー会社にインタビューを行ったところ、下記の回答が得られました。

1隻あたり、約40〜60人のツアーリーダーが乗船しており、(クルーズ船の規模によるが)1グループあたり40〜50人の小団体で行動している。観光ルートは同じスポットを通るが、あまりにも人数が多いため順番を変え、一度に大人数が押し寄せないように調整している。

訪日団体バスツアーでも約40人をツアーリーダーとツアーガイドが管理するため、フェリー内部でも同じような構造になっているようでした。

訪日クルーズ船ツアーの費用

最も安いタイプの客室を選んだ場合、1人あたりの費用は約2,000元(約4万円)〜。平均的な客室のランクを選んだ場合の価格としては4,000〜5,000元(8万〜10万円)となっています。訪日クルーズ船ツアーの場合、「船舶観光上陸許可書」がビザの代わりとなり、事実上ノービザで行けることからバスツアーよりも費用が抑えられます。そのため、激安バスツアーに代わる新たな旅行商品として「激安クルーズ船ツアー」が人気を博してきているようです。

しかし、価格が下がって訪日客がツアーに参加しやすくなる一方で、以前 INBOUND RESEARCH .jp でも取り上げた「悪徳免税店ツアー」が訪日クルーズ船ツアーにも組み込まれている、という情報が入ってきています。旅行会社としてはお客様に旅行商品を販売する際の価格競争として旅行代金を下げ、お土産物を高額で売る、というビジネスモデルです。

図1訪日クルーズ船ツアーが人気になり訪日客が増えたとしても、悪徳免税店ツアーで楽しくない日本旅行を体験してしまった場合、リピーターとして再度訪日してくださる確率は極めて低いと言えます。では実際、訪日クルーズ船ツアーは、どのような 旅程, ルート を通っているのでしょうか?

訪日クルーズ船ツアーの 旅程, ルート

中国から日本への訪日クルーズ船ツアーを企画募集している旅行会社より旅程を頂き、下記に纏めました。

  • 1日目 中国出港
    1. 15:30 チケットの受付, 乗船手続き
    2. 19:00 中国 上海港 出港
  • 2日目 韓国到着
    1. 13:00 韓国 済州港 到着
    2. 13:00〜19:00 済州島ツアー
    3. 20:00 韓国 済州港 出港
  • 3日目 日本到着
    1. 9:00 日本 博多港 到着
    2. 9:00〜18:00 博多市街ツアー
    3. 19:00 日本 博多港
  • 4日目 終日航行
  • 5日目 中国到着
    1. 8:00 中国 上海港 到着

上述した悪徳免税店ツアーが組み込まれているためか、上記以上の粒度では市街ツアー中の行き先までを掴むことは出来ませんでした。ただし、博多市街ツアーでは主に以下のスポットを回っている、という情報を得ました。

  • 太宰府天満宮
  • 訪日中国人向けドラッグストア
  • 免税店
  • 福岡タワー
  • 福岡市海浜公園
  • キャナルシティ博多(中にラオックス店舗も入っている)

回るとされている観光スポットに組み込まれている「訪日中国人向けドラッグストア」「免税店」がどのようなお店なのか、非常に興味をそそられます。

以上、急増する訪日クルーズ船ツアーの内容についての解剖記事をお届けしました。東京〜大阪を4泊5日で周遊するバスツアーと違い、9時〜18時までの間で上記のルートを一瞬で観光しなくてはならない、訪日クルーズ船ツアー。

ショッピングにかけられる時間も、1つの場所につき40分〜1時間あたりと非常に短く、場所と時間が限られていることから「そこで売っているモノをとにかく時間内に買う」という状態に近く、比較, 検討 などは出来る状態には無いと感じました。

クルーズ船ツアーで日本へ来られる訪日客を対象にしたマーケティングのご相談も徐々に増えてはいるのですが、1回の乗船数が3,000人を超えているとはいえ、お買い物の機会と販売チャネルが限定的であることから、マーケティングとしてはバスツアーに比べクルーズ船ツアーの方が難易度が高いのではないか、と感じました。

FREEPLUSのインバウンドリサーチでは、中国, 韓国 のクルーズ船ツアー会社と提携した調査を行うことも可能です。訪日クルーズ船ツアーを活用した調査やプロモーションについてご興味を持たれた方は、是非以下のお問い合わせフォームからお気軽にご連絡いただけますと幸いです。

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