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【現場暴露シリーズ】インバウンド クルーズ船ツアー、消費の実態。

前回、【徹底解剖シリーズ】では急増するクルーズ船のインバウンドツアーについて取り上げましたが、弊社が調査を続ける内、クルーズ船に乗って日本に来ているインバウンドの行動や消費の実態が明らかになってきました。

2016年8月2日に日本政府が閣議決定した経済対策の柱のひとつでもある、「外国クルーズ船の誘致」。政策決定の影響もさることながら、一度に数千人が大挙するクルーズ船ツアーに日本企業も新たな爆買いの胎動を感じ、リサーチやプロモーションといったマーケティングのお問い合わせも昨今増えております。

しかし、その実態が明らかになるにつれ、いくつかの意外な真実が浮かび上がってきました。本日は、そんなインバウンド クルーズ船ツアーにおける消費の実態を、ご紹介します。

インバウンド クルーズ船ツアーが 企画, 催行 されるまでの流れ

図1クルーズ船ツアーが出来るまでの流れとしては、クルーズ船保有企業, 中国現地の旅行会社, ランドオペレーター 以上の3社が協力することで旅行パッケージが企画されています。

上記の流れは、一般的な団体バス旅行とほぼ同じ構造になっています。 元々クルーズ船のツアーは欧米の富裕層が長期間の海外旅行を行うことを想定して作られていましたが、2015年1月1日より「船舶上陸許可制度」が施行され、「船舶観光上陸許可書」があればパスポートを持たないお客様でも日本旅行が出来るようになりました。

ビザが不要で訪日することができ、飛行機ツアーよりも安い価格での渡航が可能なため、クルーズ船による訪日旅行敷居が下がり、旅行会社は格安料金(日本円で1人あたり 2泊3日 約4万円〜)の日本旅行を企画し、催行するようになりました。

ここに火が点き、現在も1隻のクルーズ船につき2,000〜5,000人規模の訪日客が大挙し、九州を中心に爆買いをして帰っていくという旅行パッケージがよく売れているようです。

インバウンド クルーズ船ツアーでは日本の滞在期間は基本的に1日のみとなっており、弾丸激安ツアーといっても過言ではありません。

インバウンド クルーズ船ツアーの主要観光スポット(中国オンライン旅行会社WEBサイトでの募集時)

博多港

  • キャナルシティ
  • 太宰府天満宮
  • 福岡タワー
  • 福岡海浜公園
  • 舞鶴公園福岡城遺跡
  • 油山牧場
  • 友泉亭公園
  • マリンワールド
  • 櫛田神社
  • 免税店, ドラッグストア

長崎港

  • 中華街
  • 平和公園
  • グラバー園
  • 長崎原爆資料館
  • 濱町商店街
  • タワーシティ長崎
  • 免税店, ドラッグストア

那覇港

  • 首里城
  • 万座毛
  • 知念岬公園
  • 国際通り
  • 免税店, ドラッグストア

インバウンド クルーズ船ツアーの詳細スケジュール

中国のOTAサイトを確認すると、クルーズ船による訪日客が最も多い博多には、長崎, 那覇 と比較して様々なスポットが記載されています。上記スポットの内、実際に周るのは3〜4スポット。

クルーズ船が到着する時間によって1〜2時間の違いはあるものの、午前8時〜10時の間に日本へ入国し、午後6時〜8時には既に港から出港するという極めてタイトな日程です。

なお、ランチの時間は個別には設けられておらず、博多港のツアーであればキャナルシティや太宰府天満宮など、観光スポット内で各自で食事を済ませることになっています。

最後に記載されている「免税店」「ドラッグストア」という表記。実は、その3〜4スポットのうち、1〜2スポットは免税店またはドラッグストアへと寄っているということが分かりました。

OTAサイトには様々な観光スポットが記載されているにもかかわらず、実際に行っている観光スポットは2箇所程度。半分の時間は、買い物をしているというのです。

我々は博多現地へと赴き、クルーズ船のツアーガイドに通じている関係者からその内情をヒアリングしました。

インバウンド クルーズ船ツアーでは、当日変更は日常茶飯事。日本ではツアーガイドが旅程を全て掌握。

関係者によると、当日の旅程変更は日常茶飯事。日本での旅程を掌握しているのはツアーガイドとのことでした。クルーズ船のキャパシティによりますが、約2,000〜5,000人ほどが1隻に乗船可能な人数となっているため、平均2,000〜3,000人が1度に訪日しているものと思われます。

乗客は約40〜50名の少団体に分かれて構成されており、1チームにつき、ツアーリーダーとツアーガイドが1名ずつ随行しています。ツアーリーダーは中国から来て中国に帰り、主に旅程中の人数管理を担当。ツアーガイドは日本在住のガイドであり、バス運転手と連絡を取り合うツアー中の旅程管理を担当しています。

ツアーガイドはバスに乗り込んだ後、訪日客とコミュニケーションをしながら行きたい観光スポットを調整していきます。

この、旅程を決めるツアーガイドの意思決定に密接に絡んでくるのが、激安バスツアーの件で以前に取り上げた「ツアーガイド基本給0円問題」です。

インバウンド クルーズ船ツアーは、激安バスツアー同様、ツアーガイドは完全成果報酬。最近ではガイドする権利を買っている(赤字スタート)という話も。

クルーズ船ツアーが増えている最大の理由は、なんといっても「価格」であると我々は考えています。

日本への旅行ツアーが4万円台から行けるというツアーは2泊3日の短い旅程とはいえ、4泊5日でゴールデンルート(日本の人気5都市を周遊する、中国の団体旅行では最もポピュラーなルート)を周る激安バスツアーが8万円台ということから考えても、破格。

この費用感を実現させているのは、勿論、旅行会社とツアーガイドに多額のキックバックを行う悪徳免税店の存在です。

図1激安ツアーが存在するところに、多額のキックバックあり。

ツアーガイドの基本給は激安バスツアー同様、無しとのことでした。現在では、あまりにもクルーズ船のニーズが多いことから、クルーズ船ツアーをガイドする権利を「買って」参加しているツアーガイドも存在しているようです。

その場合、ツアー開始時は負債を負ってご案内を開始しているため、当然、脳裏には 観光スポット < 免税店 or ドラッグストア という図式が成り立ちます。

ツアーの終盤(日本を出港する直前の旅程)にはほぼ免税店を入れている、という話もあり、現在の収益構造がクルーズ船ツアー客の旅程決定に対して大きな影響を与えていると言っても過言ではないのではないでしょうか。

インバウンド クルーズ船ツアーの消費で潤っているのは、中国系の免税店?

クルーズ船ツアーによる観光立国を掲げたとしても、爆買いの一部は消費場所が免税店に集中している、というのが弊社調査結果によって見えてきた実態です。

少なくとも 博多, 長崎, 那覇 の3エリアにおいては、中国または韓国の企業が経営している免税店が旅行会社とタッグを組み、旅行パッケージを組成しているようです。

これまで述べてきたように、インバウンド クルーズ船ツアーでは制約条件が多く、滞在時間も短くなっています。

バスツアーと違い、限られた時間内での消費行動を的確に捉えなくてはならないという状況下において日本企業がクルーズ船ツアーでマーケティングを行う場合、何に注力すれば良いのでしょうか?

インバウンド クルーズ船ツアーのマーケティングはどこに注力すべきか

  1. インバウンド クルーズ船ツアーの行動パターンを洗い出す
  2. 自社商品をインバウンド クルーズ船ツアーの行動パターンに組み込む
  3. ツアー会社と連携し、訪日前〜訪日中にプロモーションを行う(同時にリサーチを実施)

上述したように、インバウンド クルーズ船ツアーは制約条件が多いですが、裏を返せば「行動パターンが限定的である」とも言えます。

行く場所はほとんど固定化され、数千人単位の訪日客が一定のロジックに基いて行動する為、ポイントを抑えれば、インバウンド クルーズ船を対象にしたマーケティングは団体バスツアーと比較して仕掛けやすいのではないかと感じます。

まずはインバウンド クルーズ船ツアーの行動パターンを洗い出し、バスの停車場所, 乗降車の導線, 滞在時間, よく立ち寄るエリア(ホットスポット) 等の情報を収集します。行動パターンを抽出した後は、マーケティングしたい商品がインバウンド クルーズ船ツアーの行動パターン(商圏)に組み込むことが出来るかを模索します。

情報を整理し、受け皿を整備した後に、訪日前や訪日中のプロモーション、例えば移動中のバス内でのサンプリングなどを行うことで、よりプロモーションが有効な施策になると考えております。

以上、インバウンド クルーズ船ツアーの現場暴露シリーズをお届けしました。

弊社のインバウンドマーケティングサービスでは、海外旅行会社へのルートを活用し、上記のリサーチからプロモーションまでを一気通貫でマーケティング施策としてご提案することが可能です。インバウンド クルーズ船を対象としたマーケティング施策にご興味をお持ちでしたら、下記フォームからお問い合わせいただけますと幸いです。

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