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【旅行会社インタビュー】訪日旅行は本当に伸びているのか?海外旅行会社の日本担当者に、実感値を聞いてみた 〜 タイ, ベトナム, インドネシア 編 〜

国別訪日旅行トレンドレポート、東南アジア編。前回の中華圏3カ国( 中国, 台湾, 香港 )に続き、今回は訪日観光ビザの大幅緩和を背景に、訪日旅行数が伸び続ける東南アジア3カ国( タイ, ベトナム, インドネシア )に注目します。

果たして現地、海外の旅行会社は、日本旅行への伸びをどのように感じているのでしょうか?海外から見た「旅行先:日本」 という観点から、「訪日旅行は本当に伸びているのか?」という問いについて、旅行会社にインタビュー調査を行いました。

中国同様、定量データでは訪日旅行は続伸している。

日本政府観光局の統計によれば、 タイ, ベトナム, インドネシア の訪日旅行者数の増加率は、それぞれ 15.1%, 28.9%, 26.3% (2016年7月までの対前期比)で増加しています。訪日旅行数に関して、中華圏3カ国( 中国, 台湾, 香港 )よりはまだまだ少ないものの、成長率は引けを取っておりません。

はたして、上記のデータ、訪日旅行の現場から見た感覚としては、今、どうなっているのでしょうか。訪日旅行市場の 真相, 変化 そして今後の展望も知るために、海外旅行代理店に直接インタビューを行い、訪日旅行需要の生の声を聞いてみました。

調査前提

  • 調査時期:2016年9月12日〜9月16日
  • 調査方法:海外旅行代理店インタビュー タイ, ベトナム, インドネシア 各5社 計15社

調査項目

  • Q1. 訪日旅行のニーズは昨年に比べて増えていると感じますか?
  • Q2. 訪日旅行の売上は前期比でどれくらい変化していますか?
  • Q3. 昨年と比較として、全体を通したニーズの変化はありますか?ある場合、どのようなところですか?
  • Q4. 最近お客様からご要望いただいた旅行先の中で、特別なリクエストはありましたか?
  • Q5. これから日本旅行はどうなっていくと思いますか?
  • Q6. 最近日本旅行で人気のルートはどのようなパッケージですか?

ベトナム, インドネシア の2国とタイとで、大きく異る昨年の印象。

Q1. 訪日旅行のニーズは昨年に比べて増えていると感じますか?

%e5%9b%b32タイは、全体としては伸びていると感じた旅行会社が過半数ではあるものの、2社からは逆に「減っている」との回答がありました。ベトナム, インドネシア の2国はどちらも「増えていてると感じる」という回答が全社から帰ってきました。

回答をさらに分解してみると、タイの訪日需要は、「すごく増えている」と「すごく減っている」が各2社ずつ回答があり、会社によって実感値に大きな差がありました。ベトナムは、「すごく伸びてる」もしくは「伸びている」との回答で、3ヵ国の中、最も高い訪日旅行客成長率を現す結果に。インドネシアも、5社中全社が「伸びている」との回答がありました。

【タイ】価格に敏感な訪日リピーターFIT層の増加。団体旅行は差別化が必須。

5社中3社は、団体旅行の売上が「減っている」と回答

訪日旅行売上が「減っている」と回答した3社によれば、FITの増加で、団体旅行の売上は落ちているようです。「前年同期比で、30%ほど取扱客が下がった」という回答が1社からありました。タイの旅行会社によれば、訪日旅行を扱う現地旅行会社間でも、激しい価格競争があるようです。 タイのある訪日旅行担当者からは、為替の変動によって厳しさを増した現場の声を反映していると思われる回答が得られました。

円高によってツアー仕入れ価格が上昇しているものの、料金の上昇分を旅行価格に反映してしまうと売れなくなってしまう。よって、旅行ツアーの募集をキャンセルするか、利益を削って実施するしかない。

売上が「増えている」と回答した2社は、ニッチな訪日旅行ニーザに特化

訪日旅行売上が「増えている」と回答をした2社のうち1社は、10年以上の訪日旅行実績がある富裕層向けの老舗ツアー会社でした。訪日客が増えている理由として、「日本には親切な人が多い」や「 自然, 買い物, 食事 」が充実しているとの回答がありました。現在、タイではあまり有名ではない田舎町の旅館に泊まるツアーの人気が出てきているようです。 もう1社は、社員報奨ツアー(インセンティブツアー)や個人旅行の手配でも少人数のツアーに特化している、旅行会社でした。「前年同期比で、売上は40%ほど上がった」と回答。訪日旅行ニーズの多様化へのきめ細かいサービスが現地旅行会社の成功のカギであると感じました。

航空会社の期間限定プロモーションなどで、値段に敏感なFITが増加

タイの旅行会社によれば、LCCなどの航空会社の期間限定プロモーションで航空代金が安くなるのを待つ人や円安に回帰をするのを待つ人が増えているそうです。訪日客増加は、2013年7月のタイ人訪日客に対する訪日観光ビザ免除が理由だという回答もありました。訪日観光ビザ免除で、個人客が旅程をたてやすくなったのも、FIT増加の理由だと感じております。

旅行会社側は、今後の訪日旅行について「増加するだろう」と予想

「Q5. これから日本旅行はどうなっていくと思いますか?」への回答として、5社中3社が「増える」と回答。その他、「すごく増える」という回答が1社、「横ばい」という回答が1社でした。5社中3社の売上は下がっている中、4社は今後も訪日需要は増えていくと感じているようです。

リピーターの訪日客が増え、行き先も都市部から地方へシフトしてきている

タイの旅行会社によれば、初めて日本を訪れる初回訪日客の行き先は東京が人気で、リピーターの訪日客は地方に行く傾向があるようです。例えば、北海道各地を周る旅行。阿蘇山の噴火で風評被害があった九州も、噴火発生前と比べて売上は下がっているものの、未だ人気だそうです。新しい周遊ルートとして、広島や鳥取など中国地方に注目している旅行会社も1社ありました。訪日ニーズの多様化により、旅行会社間での差別化が必須な様相となっていると感じます。 また、日本以外行き先として、韓国も人気だという回答もありました。当然、海外旅行の需要となるのは日本だけではありません。現在、円高の影響で日本ツアーの値段が高くなり、タイの旅行会社が販売するヨーロッパツアーと日本ツアーでは、値段がほぼ一緒になっております。その影響で、ヨーロッパツアーに人気が集まってきているという声も上がっていました。

【ベトナム】訪日ビザの大幅緩和により団体客急増。訪日初心者が多い印象

5社中全社が前年比で売上が「増えた」と回答。売上が 2倍 になったという会社も。

「Q1. 訪日旅行のニーズは昨年に比べて増えていると感じますか?」への回答が「すごく増えている」と回答した3社は、前年同期比で売上が「1.4倍~2倍増加した」という回答をしました。ベトナムの旅行会社によれば、イベントブースを構えて売るような直接販売での売上が上がっているようです。

団体客の増加は訪日観光ビザの簡素化が起因している

ベトナムの旅行会社によれば、訪日客数の急増の背景には、2014年11月の指定旅行会社パッケージツアー参加者に対する一次観光ビザ手続きの簡素化も起因しているようです。訪日観光ビザの手続きが、現地旅行会社に一任すれば簡単になるという理由も、団体客の増加につながっていると感じております。

「行き先」が、東南アジアから 日本, 韓国 へとシフト。

1社から、「行き先」が「東南アジアから 日本, 韓国 に変わってきている」という回答がありました。特に、桜シーズンは日本が人気だそうです。最近、円高傾向にはあるものの、「昔に比べたら、訪日旅行が安くなった」という理由もあるようです。

今後も続伸すると思われる訪日需要、現地旅行会社間での競争も激化する?

5社中全社が、今後の訪日需要は 「増える」(3社), 「すごく増える」(2社) と満場一致。今回取り上げた東南アジア3カ国の中では、訪日旅行者数の成長率トップを反映する結果になりました。 そして、5社中4社が、訪日旅行ニーズの変化を「感じている」と回答しました。東南アジア旅行に比べれば、依然として訪日旅行は高いため、現地旅行会社の値段の違いに敏感なようです。 今後、訪日旅行需要は引き続き増えるものの、現地旅行会社間では価格競争が激しくなるのではないかと感じております。価格だけでなく、「接客対応の向上」も求められるだろうという声も旅行会社からは上がっており、他の旅行会社との差別化が非常に重要になってくると感じました。

人気ルートは、初回訪日客に定番の「ゴールデンルート」

人気ルートとして、「東京」, 「ゴールデンルート」 以外の回答はありませんでした。訪日観光ビザの大幅緩和からまだ2年程しか経っていないので、ベトナム人訪日客の多くは初回訪日客であると思われます。一方で、訪日経験があるベトナムのお客様からは、「買い物の時間をより多くとってほしい」や「体験型ツアーも増やしてほしい」という要望もある、という回答がありました。 特に、家電などの「高品質な商品に興味がある」との回答もあることから、団体旅行などで限られた時間の中で買うよりも、時間に縛られず、自由にお買い物をしたいのではないかと感じます。今後はタイ同様、訪日リピーター客が増えれば増える程、ゴールデンルート以外の場所への送客が増えていくでしょう。

【インドネシア】個人ビザの大幅緩和により、値段に敏感なFIT層が増加。団体旅行は減少へ

訪日団体ツアーの売上は「横ばい」もしくは「減少」

訪日旅行売上が、「横ばい」との回答は5社中2社、「減っている」との回答は5社中2社でした。売上が「減っている」と回答した2社中1社から、インドネシアの休暇シーズン「レバラン」( 2016年7月2日〜7月10日 ※企業によって休暇期間の設定は若干異なる )での売上は「40%も減った」との回答。そして、5社中3社から、団体旅行から個人客へのシフトを懸念する声がありました。

ベトナムとは違い、訪日ビザは個人でも取りやすくなった。

2014年12月から、訪日数次ビザがIC旅券事前登録制により、免除になりました。以前は、ビザ取得に関して口座情報を公開するなど必要書類が多く、現地旅行会社に頼る傾向があったようです。現在では、個人で訪日ビザを取得する人が増えており、それが訪日個人客の増加の大きな理由ではないかと感じております。

タイ同様、航空会社からのプロモーションを利用して、安く訪日される方が増加

5社中全社が「団体ツアー仕入れ価格」の上昇を問題点として挙げていました。円高やホテル代の上昇により、団体ツアーの仕入れ価格が上がっている一方、FITはLCCなどの航空会社プロモーションで価格に敏感になり、安く訪日される方が多くなっているようです。

今後の訪日需要も、緩やかに増加。

「Q5. これから日本旅行はどうなっていくと思いますか?」への回答として、5社中4社が「増える」。1社が「すごく増える」でした。団体ツアーの売上が減少はしているが、今後も訪日需要が増えていくと全社が感じている結果になりました。

人気ルートは、全社が「ゴールデンルート」

ベトナム同様、5社中全社が人気ルートとして「ゴールデンルート」と回答。訪日旅行が初めての方が多い印象でした。「ゴールデンルート」以外のプロモーションがほしいという要望が1社から出るなど、各現地旅行会社で差別化を図る必要がありそうです。現在、価格重視な訪日客が多いのは、ツアー内容が各社あまり大差ないということもあるのもあるかもしれません。 以上、訪日旅行の展望に関する旅行会社インタビュー調査をお届けしました。 総括すると、タイとインドネシアに関しては、前回とりあげた 中国, 台湾, 香港 と同様、団体旅行からFITへのシフトをしており、LCCなどのプロモーションを利用し、安く訪日される方が多い。リピーター訪日客は都市部から地方へ、日本の文化やおもてなしを求めるなど、訪日旅行ニーズの多様化が進んでいると感じます。ベトナムに関しては、団体ビザの方が取りやすいことも起因し、今年は依然として団体旅行が主体になっていくだろうと思われます。 なお、本レポートの元となる調査結果は、データ販売を行っております。ご興味のある方は、下記お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。

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