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【現場暴露シリーズ】ソーシャルバイヤー歴3年以上の中国人日本在住者が明かした、「代購」市場の実態。中国消費者の日本商品需要の現状と未来。

今回は、日本での代理購買経験が3年以上ある、元ソーシャルバイヤー(日本在住の中国人)に対して、インタビュー調査を行いました。中国消費者の日本商品需要の現状と今後を探ります。

ソーシャルバイヤーとは

微博(Weibo, 中国版Facebook)や微信(WeChat, 中国版LINE)などのソーシャルメディアを利用し、中国現地の消費者のために、中国では手に入りにくい商品を購入する代理購入者のことです。中国では、代理購入、つまり代行ショッピングのことを、「代購」と言われています。

果たして、ソーシャルバイヤーから見える日本商品の購買現場の現状はどうなっているのでしょうか?

質問項目

  • Q1. ソーシャルバイヤーになった理由はなんですか?
  • Q2. 中国現地で、どのような方が日本商品の代購を依頼するのですか?
  • Q3. 毎日どのくらいの時間を代購に費やしていましたか?
  • Q4. 1ヶ月にどれくらい代購で儲けていましたか?
  • Q5. どのようにして代購した商品を中国からの依頼者に発送しますか?どのように購入商品の代金をもらうのですか?
  • Q6. どのような日本商品の代購を依頼されるのですか?
  • Q7. 代購を行っていた期間中(2012年初め~2015年半ば迄)、どのように日本商品の購買内容は変化していきましたか?
  • Q8. 淘宝網(タオバオ)などのECサイトでの日本商品の販売はしなかったのですか?
  • Q9. ソーシャルバイヤーにとって競合相手はいますか?
  • Q10. 中国での関税強化(2016年4月以降)によるソーシャルバイヤーの購買内容の変化はありましたか?

Q1. ソーシャルバイヤーになった理由はなんですか?

代購を始めたのは、2012年の初め頃で、当時私は留学生でした。代購を始めたきっかけは、中国で人気になった日本国内向けに販売された自撮り用のデジタルカメラ、カシオの EXILIM EX-TR150 の代購を中国の友人の紹介で知った中国現地の方から頼まれました。販売台数が限られており、値段が7万円以上まで高騰しました。この商品を4万円で仕入れることができ、10~12万円で複数人の中国現地の方へ売ることができました。この出来事を機に、日本での代購を依頼する人が増え、本格的に代購を始めました。

日経トレンドネットによれば、カシオの自撮りデジカメの人気の背景には、日本人と中華圏の人たちの自撮り需要の違いがあるそうです。自撮りを極度に控える傾向の日本人に比べ、中華圏の人たちはFacebookなどのSNSサイトで自分の顔を積極的に公開するを好むようです。自分の顔をきれいに撮れると評判になり、特に中華圏の若年女性に人気だったそうです。そして、値段比較サイト、価格ドットコムによれば、EXILIM EX-TR150 の商品価格の値段推移が、「右肩下がりでなく右肩上がりの珍しいグラフ」との口コミがあり、以下のグラフが掲載されていました。価格ドットコムでの初値(2014年4月時点)の33,133円から84,800円(2014年9月時点)まで高騰し、初値の2.6倍の価格をつけました。

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Q2. 中国現地で、どのような方が日本商品の代購を依頼するのですか?

代購依頼者は、北京と上海在住の30代の中国人女性がほとんどでした。私は、北京出身なので、主に北京在住の方のために代購を行っていました。定期的に代購を依頼する人数は、最高で30人まで増えました。私の場合、ほとんどの代購依頼者は、中国内で転売せずに自己利用が目的でした。

Q3. 毎日どのくらいの時間を代購に費やしていましたか?

留学生だった頃に、大学での授業の傍ら、代購を行ってました。大学卒業後、日本で結婚し、主婦になってからは、ほぼ毎日朝10時から夕方5時まで代購に時間を費やしていました。百貨店や専門店など、複数の店に行き、商品の値段を比較し、商品の写真や店員からのコメントを中国にいる代購依頼者に微信(中国版LINE)を通じて伝え、商品の最終的な購入に至るまでに代購依頼者との会話のやり取りに時間がかかります。代購依頼者は買う商品名を予め特定していないパターンが多く、インターネットなどで調べた商品情報を代購依頼者に教えたり、代購依頼者からの質問の対応で時間と労力がかかります。昨年8月に子供を出産し、代購を続ける時間の余裕がなくなり、代購を辞めました。

Q4. 1ヶ月にどれくらい代購で儲けていましたか?

通常、1ヶ月で平均20万円程を稼いでいました。多い月で稼いだ額は100万円程でした。その時の日本での購入額は300万円なので、 利益率は33%でした。利益率は中国に居る代購依頼者によって異なります。中国の裕福な家庭ほど値段を気にしない傾向があることから、利益率は高かったです。例えば、半年間、ほぼ毎日、バーバリーなどの高級ブランドを買うように依頼されてことがありました。この代購依頼者は中国でかなり裕福な家族で、高級ブランドの鞄や服を家族全員だけでなく、親戚にも買っていました。

代購する国によって、購入内容や儲けられる額も異なります。イタリアでは、グッチ(Gucci)やエルメス(Hermes)などの高級ブランドは中国での価格の半分ほどで販売されており、これらのブランドを中国に転売することにより月に800万円を稼いでいるイタリア在住の中国人家族がいると聞きました。代購は、日本だけなく、ヨーロッパでも広がっています。

Q5. どのようにして代購した商品を中国からの依頼者に発送しますか?どのように購入商品の代金をもらうのですか?

日本で購入した商品を依頼者ごとに小さな段ボールに分け、それを大きな段ボールで数個にまとめ、まずは北京の実家に送ります。まとめて日本から中国へ送ることで送料が安くなります。北京に居る母親が小さな段ボールを取り出し、中国国内の依頼者の住所に発送します。購入代金の支払いは、日本で商品の購入後に、依頼者から中国内の口座に振り込んでもらいます。他のソーシャルバイヤーの友人は、商品の購入前に代購依頼者に代金を振り込んでもらうことがあると聞きました。商品の発送や代金の受け取りは、日本で購入する人も中国から代購を依頼する人の信頼関係で成り立っており、中国現地の友人からの紹介で知った人からの代購依頼しか受け付けませんでした。

弊社の中国人スタッフによれば、中国国内の銀行送金だと、最低でも1営業日かかってしまうので、中国の個人間の送金は支付宝(アリペイ)を使うソーシャルバイヤーも多いとのことでした。最近では、微信(中国版LINE)を通じて、個人間で送金するケースも増えてきているそうです。中国では、インターネット上での個人間の送金の利便性が高まっているようです。

Q6. どのような日本商品の代購を依頼されるのですか?

化粧水などのスキンケア商品が中心でした。人気ブランド名だと、アルビオン, 資生堂, ファンケル。中国内に販売されている日本ブランドは、日本国内で販売されいている商品とは品質が異なり、日本での代購にニーズがあります。

Q7. 代購を行っていた期間中(2012年初め~2015年半ば)、どのように日本商品の購買内容は変化していきましたか?

代購を始めた当初(2012年初め)は、今ほど日本での代購ニーズは少なかったです。中国人の日本商品に対する認知度が低く、日本で有名な商品と言えば、デジカメなどのエレクトロニクス商品でした。2014年の後半から、円安の影響もあり、日本での化粧水などのスキンケア商品の代購依頼が増えました。代購を辞めた時点(2015年半ば)では、中国の消費者は健康志向になってきており、サプリメントや酵素食品の代購依頼が増えたと感じました。子持ちの中国人女性の間では、日本の粉ミルクやオムツなどのベビー用品も人気です。代購をしていた3年間で、購入内容が電化製品などの限られた商品から日本の日用品へとニーズが変わっていきました。

Q8. 淘宝網(タオバオ)などのECサイトでの代購はしなかったのですか?

淘宝網(タオバオ)で売ると利益が少なく、代購に費やす労力に対して割が合わないため、ECサイトでの販売はしませんでした。 淘宝網(タオバオ)に掲載されている商品が安い理由の一つとして、売られている日本商品の80%以上(回答者の実感値)は偽物だからです。ソーシャルバイヤーの中には、中国国内で製造された商品を日本に一旦送り、中国の代購依頼者に再発送するケースもあります。代購は売り手も買い手も信頼関係が非常に重要です。

ソーシャルバイヤーの中には、微博(中国版Facebook)を通じて、代購可能な日本商品を宣伝して、代購依頼を受ける方もいます。代購を依頼する人と代購を引き受ける人がお互いに微博の投稿を見ることで、代購に対して信頼を得ることもあります。

例えば、淘宝網(タオバオ)の検索で、Adidasのスニーカー・シューズ、「 Tubular Invader」を調べると、中国のBtoCのECサイトである天猫(Tmall)にも出店されている商品の販売価格は、896元。日本円にして約14,336円(以後、1元 = 16円 として換算)。一方、中国のCtoCの淘宝網のみに出店されている商品が170元。日本円にして約2,720円。弊社の中国人スタッフによれば、天猫と淘宝網の値段の格差の大きな要因は、淘宝網で売られている商品のほうが偽物である可能性が高いからだそうです。

tabular-invader%ef%bc%88taobao-vs-tmall%ef%bc%89modified微博の検索で、「日本代购」(日本代購の中国語簡体字)と調べると、以下のように日本の商品を積極的に宣伝し、代購依頼を求めているSNSユーザーもいます。

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Q9. ソーシャルバイヤーにとって競合相手はいますか?

私の場合は、代購依頼者からの信頼関係があり、中国の比較的裕福な家庭に日本の商品を送っていたので、競合相手がいると感じませんでした。ただ、最近では、代購を仕事をしてる個人や企業もあり、競争が激化したこともあり、代購での利益率は減っていると聞きました。そして、2014年半ば頃から、観光はあまりせず、微信(中国版LINE)で中国現地の代購依頼者と連絡を取りながら、心斎橋で一日中買い物をする中国からの個人訪日旅行者を多く見るようになりました。その中国人旅行者が買い物場所として選ぶのは、大阪です。東京よりも大阪の方が物価が安いと知っているため、代購目的の訪日旅行者は大阪を好みます。

最近では、円高影響もあり、購入場所を日本から韓国へシフトしてきていると感じます。代購を仕事とする中国からの個人旅行者は、1か月2回程度の頻度で日本と韓国に行っていると聞いたことがあります。韓国ファッションや韓国ブランドのスキンケア商品も中国で人気になってきています。 韓国のスキンケア商品では、雪花秀(ソファス)や Baby Pure Shining Mask などのフェイスマスクで有名の JayJun Cosmetics が特に人気です。日本に比べて、韓国ではまとめ買いよる割引サービスが多く、ソーシャルバイヤーにとって1品当たりの商品価格を抑えられるというメリットがあります。

Q10. 中国での関税強化(2016年4月以降)によるソーシャルバイヤーの購買内容の変化はありましたか?

中国側での関税チェックを怖れて、日本での購入商品が空気洗浄機やベビーカーなどの大きめの商品よりも日用品などの小さめの商品が人気になったと感じます。スーツケースに収まるほどの小さめの商品の場合、関税でのチェックはさほど厳しくはないからです。そんな状況下でも、関税を中国側で払っても、家電などの大きめの商品を日本から発送してほしいという依頼はあります。

以上、元ソーシャルバイヤーとのインタビュー内容をお届けしました。

今回、調査に協力してくださった日本在住の中国人が中国に一時帰国した際に、代購のためにスーツケースで持ち運んだ日本商品をスライドショー形式で表示しております。

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