nike-flyknit-racer-frot-page

【現場暴露シリーズ】ソーシャルバイヤー特集 〜 インドネシアのスニーカー事情 & 代理購買アプリを開発した新興企業紹介 〜

今回は、ソーシャルバイヤー特集、インドネシア編。先週に引き続き、海外のニッチな日本ブランドの代理購買依頼例をご紹介します。東南アジア最大の経済国、インドネシアのスニーカー事情。とある日本人大学生がインドネシアに交換留学した際に、実際に目にしたインドネシアの驚きのスニーカー転売事情を公開してくださりました。 記事後半部では、今回のインタビュー中に話題にあがり、ソーシャルバイヤーのビジネスを脅かす可能性がある「代購」をビジネスチャンスと捉え起業したスタートアップ企業をご紹介します。ぜひ、御覧ください。

インドネシアで日本限定のスニーカーの転売経験がある日本人男性(20代前半)

交換留学先の多くの学生は、お洒落。ランボルギーニを運転する学生も。

2014年9月、インドネシアのジャワ島西部のバンドン( “Bandung” )で交換留学した際に、イタリアの高級車、ランボルギーニを運転しているインドネシア人学生を見て、日本とは感覚的に違うインドネシア人の富裕層の派手なお金遣いに衝撃を受けたと語る、日本人大学生の岡田さん(仮名)。交換留学先の学生を見ると、日本のようにオシャレに服を着こなしているインドネシア人学生を多く見かけたという。ファッションに元々興味があった岡田さんは、そのブランドが偽物や本物に関わらず、インドネシア人がどのように海外のファッションアイテムを入手していたのか気になっていた。

岡田さんの隣人は、スニーカーの転売者。部屋には、100足以上の商品在庫が。

ある日、大学内のドミトリーに滞在していた岡田さんの部屋の隣に住むインドネシア人、Agungさん(仮名)宛に郵便物が届くが、彼が不在だったため、代わりに岡田さんが郵便物を引き取った。隣人が部屋に戻り、岡田さんが預っていた郵便物を渡しに、隣人の部屋の中に入ると、100足以上のスニーカー靴の箱が積み上がっている光景に衝撃を受けたという。話を聞いていくと、Agungさんはアメリカやヨーロッパのオフィシャルサイトや個人間売買サイトのeBayから安くスニーカーを仕入れ、インドネシア内でスニーカーを高値で売っているという。そして、Agungさんは岡田さんに日本から安くスニーカーを仕入れられないかと話を持ちかけられた。岡田さんは、あらゆる商品のインドネシアと日本の価格差に興味を持ち、家電, 乗用車, 化粧品 などを調べていく内に、スニーカーの価格差が特に高いという結果に至ったという。ちなみに、韓国のブランドは、化粧品が人気で高値で販売されてるとのこと。

インドネシアの個人間の商売は、「信頼」が重要。Agungさん、賢い方法で「信頼」を獲得。

Agungさんのスニーカーの販売方法は、写真共有で人気のSNSサイト、インスタグラム( “Instagram” )を通じて、インドネシア人が好きそうなスニーカーを投稿し、そのスニーカーを買いたい人がAgungさんにBBM( BlackBerry Messenger の略。詳細は後述)やLINEなどのチャットアプリで直接連絡をする。岡田さんによれば、インドネシアでは、支払った商品が届かなくても騙された消費者側の落ち度だと思われるという。逆に言えば、売り手にとっては、社会的信頼を勝ち取ることが集客を増やすのに不可欠だ。Agungさんは、過去にスニーカーを買った客とのチャットの履歴をインスタグラムに載せて、新規客の信頼を得ている。さらに、売り手は商品を仕入れる前に新規客から商品代金の50%を保証金として初めに受け取り、残りの50%の代金を商品の発送前に受け取るなど、買い手と売り手が信頼関係の構築が重要だ。

補足:アジア市場のIT業界情報サイト、Tech In Asia によれば、インドネシアでかつて根強い人気を誇った携帯端末、BlackBerryの付属チャットアプリがBBM( “BlackBerry Messenger” )だ。BlackBerryの保有率が低くなった今でも、BBMはインドネシアで利用数が最も多いチャットアプリ、次に人気なのはLINEだ。

アシックスの限定版モデルで、インドネシアでは約3.7倍の値段がついたことも。

岡田さんは、Agungさんから頼まれたスニーカーを日本にいる家族や友人に頼んで購入し、インドネシアに発送してもらい、Agungさんにスニーカーを卸していた。岡田さんの経験則によると、インドネシアでの人気スニーカーブランドは、ナイキ, アディダス, アシックス 。岡田さんが日本から仕入れたブランドは、ナイキとアシックスが多く、日本, アメリカ, ヨーロッパ で限定販売されるモデルが非常に人気だという。ナイキだと、「Nike Flyknit Racer」が最も人気で、日本よりも65%ほど高い値段で60足ほど売れた。人気の理由としては、運動時に履けるオシャレ靴だからだそうだ。アシックスだと、「GEL-Lyte III」シリーズとアメリカの老舗スニーカーショップの「Packer Shoes」のコラボモデル、「Dirty Buck」をアメリカの「Packer Shoes」の店舗と日本国内の3店舗のみの限定販売で、定価1万8,500円(税抜)で発売された。その後、「Dirty Buck」は、日本国内のヤフーオークションで5万5,000円の値をつけ、インドネシアではAgungさんが7万円で売ることができた。

台頭する中間層と富裕層、ステータスを表す商品を身につけ、他人と差別化。

Agungさんと取引しているインドネシア人客が、アメリカとヨーロッパから直接仕入れるよりもソーシャルバイヤーを好む理由は、彼らが入手が難しい先進国限定モデルや数量限定モデルのスニーカーを購入したいからだ。岡田さんによれば、肩書きや地位を重視するインドネシア社会では、ステータスを表す商品には高級感を求めるという。特に、日本限定販売のスニーカーはプレミアム感やブランド感があり、ステータスで差別化を求めているインドネシア人の中間層と富裕層の購買意欲を促進する。その中には、割賦払い(現地語でチチラン: CICILAN)で車や高級ブランドなどの支払いを先送りする人もおり、出費に関して楽観的な方もいる。そして、インドネシアで新しいモデルが販売されると、待ち焦がれていたスニーカーファンが店に押し寄せる光景を岡田さんは何度も見ている。

release-of-new-shoes-in-indonesia-final

代理購買アプリを開発した新興企業(スタート・アップ)紹介

個人ソーシャルバイヤー:個人間の信頼や商品の専門性を重視する小規模なニッチ市場。

以上、11月21日から3週間連続で、ソーシャルバイヤーのインタビュー特集を組み、配信を行ってまいりました。ソーシャルバイヤーが海外現地客に販売する方法は、微博(Weibo)やインスタグラム(Instagram)などのSNSサイトで宣伝し、 個人客とは微信(WeChat), Facebook メッセンジャー, LINE, BBM などのチャットアプリで連絡をとることが一般的で、中には淘宝網(タオバオ)などのECサイトでの販売されている方もいらっしゃいます。ソーシャルバイヤーの特徴として、販売する商品の種類や数量は限られており、商品がニッチになるほど、個人客との質問に対応するための専門的な商品知識が重要になります。まさに、インターネット上の海外営業マンという存在といっても過言ではありません。

代理購入アプリ:潜在的な「代購」需要を喚起させ、「代購」のマス・マーケットを狙う。

先週特集した元ロリータ・ファンのYangさんとのインタビュー中に、シンガポール現地で「代購」をビジネスチャンスと捉え起業したシンガポールの新興企業の話が話題にあがりました。そして、日本留学中のスウェーデン人大学生からも2016年に起業したアメリカ・サンフランシスコ発の「代購」アプリの話がでるなど、海外の「代購」市場において新しいトレンドが生まれる予感がしております。ソーシャルバイヤーとの取引は個人間が多く、不透明なニッチ市場というイメージがありますが、今後、「代購」アプリが買い手と売り手の繋がりを可視化し、世界中で「代購」が新しい旅行スタイルになる可能性も考えられます。

Airbnbが成功したように、買い物も「個人間」の繋がりを重視する時代到来の予感。

Airbnbが宿泊において個人間の繋がりを重視した旅のスタイルを確立したように、海外旅行者にお遣いを頼む「代購」アプリが、旅行者と旅先のショップ店員との触れ合い、そして旅行者と代購依頼人との繋がりを楽しむ旅行スタイルが生まれる可能性も秘めています。AmazonなどのECサイトは 「効率化」, 「品揃え」, 「利便性」 が重視されがちですが、「代購」アプリはお買い物の「人間味」という隙間ニーズを捉えているとも考えられます。

Airfrov:海外旅行者にお遣いを頼む、シンガポール発の「代購」アプリ

Airfrovは、2015年にシンガポールで「代購」の買い手と売り手をマッチングするサービスを開始したスタートアップ企業。Airfrovにおける「代購」の手順は、代購依頼者が、買ってきて欲しい国, 商品の詳細, 買取金額 を決め、Airfrovのサイト上に掲載します。代購依頼に応じたい旅行者はその依頼を承認し、代購依頼者が買取金額をAirfrovに支払います。旅行者が旅先で商品を購入し、旅行後に購入依頼者に届けると、買取金額が受け取れる仕組みになっている。購入依頼者は、Airfrovのオフィスからの受取, 提携している小売店やロッカーボックスからの受取, 郵送, 旅行者から直接手渡し が選択可能。Airfrovが受け取る手数料は、代購依頼者が負担し、買取金額の7%+2シンガポールドル となっています。

(以下、Airfrovの「代購」手順) airfrov-business-modelAirfrovの代購依頼を覗いてみると、日本がシンガポールからの代購依頼数(2016年12月1日時点で13,575)と協力する旅行者数(359人)でトップ。日本は代購先として最も人気がある。

airfrov-japanTech In Asia によれば、Airfrovで購入依頼が多い品目は、東京バナナなどのご当地お菓子, 化粧品, 国別限定のスターバックス・カップ, レゴ だそうだ。Airfrovでは、代購依頼をカテゴリー別で検索でき、日本からの飲食品の購入依頼の例は以下。

airfrov-product-example

Grabr:旅行者と代購依頼者とのコミュニケーションを重視したアメリカ発のアプリ

Grabrの創業者は、76カ国の訪問経験と7都市の居住経験があり、海外で気に入った商品が、アメリカ・サンフランシスコ(現在の居住都市)では容易に入手できない問題を解決したいと思い、旅行者と代購依頼者を繋げるサービスを2016年に始めた。基本的には、Airfrovと同じビジネスモデルだが、複数の旅行者が代購依頼者と連絡ができ、商品価格に上乗せされる代購依頼料金( “Travel Reward” )や 受取方法(手渡しが前提)がメッセージ機能を通じて交渉でき、Grabrは意図的に個人間のコミュニケーションを大切にしている。

例えば、行き先を「日本」、届け先を「サンフランシスコ」で検索すると、「響12年」に商品価格の40米ドルと代購依頼料金の15米ドルを支払いする代購依頼は日本からの旅行者が落札した。

(以下、Grabrの検索例)

graber-japanシンガポールのAirfrovもアメリカのGrabrも創業から2年も経っていない新しいサービス。今後、海外旅行者がお遣いで買い物をするという旅行のトレンドが生まれるかもしれません。異国での個人間のコミュニケーションを大切にする宿泊予約サイトのAirbnbが成功したのと同様、旅行者が買い物においても個人間の繋がりを求めている潜在需要があるとも考えられます。

以上、ソーシャルバイヤー特集をお届けしました。 インバウンド市場について調査をされたい内容や、インバウンドで気になっている情報, INBOUND RESEARCH .jp に対するご感想 などございましたら、以下のお問い合わせフォームより気軽にご連絡いただけますと幸いです。

Comments

comments

お問い合わせ
新着調査データ