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【訪日客同行調査】フランス人観光客の旅中でのつぶやきから旅先「京都」を深層分析 。東山地区にある和菓子屋の親切なビーガン対応に感激!

今回は、先週に引き続き、スウェーデン人留学生のNathanさんの「京都」旅行に密着させてもらい、海外客の目線で旅先「日本」の魅力と課題を深層分析。前回とは少し違い、今回はNathanさんのご友人でフランス出身のAbdelfetah(アブデルフェタ)さんも同行密着取材に参加。NathanさんもAbdelさん(あだ名)も行ったことがない銀閣寺や清水寺がある京都東部の旅程を中心に作成しました。Abdelさんは信仰上の理由で動物性の食品を一切口にしないビーガン(英語表記:“Vegan” )。

果たして、ビーガンのAbdelさんは京都でどのような食べ物を口にしたのでしょうか?前回は、スウェーデン人留学生のNathanさんにクローズアップしました。今回は、ワーキングホリデーで来日したフランス出身のAbdelさんのつぶやきを中心にレポートにまとめました。

ワーキングホリデーで来日したフランス出身のビーガン主義者、Abdelfetahさん

Abdelさん(あだ名)は今年10月にワーキングホリデー・ビザで来日し、スウェーデン出身のNathanさんから紹介を受けた。Abdelさんは以前に菜食主義ではなかったのですが、6年前に動物の権利を訴えた映画「Earthlings(アースリングス)」で人間の衣食住において動物が残虐に殺されている場面を観て、菜食主義でも最も厳しいビーガン主義者( “Vegan” )になった。Abdelさんによれば、ヒンズー教徒が宗教を理由にベジタリアンになるケースがあるが、Abdelさんの場合は動物愛護が理由で、ベジタリアンと一言で言っても経緯や思考が全く違う場合があるそうだ。

株式会社 Veganic Japan (ビーガニック・ジャパン)のウェブサイトによれば、菜食主義(ベジタリアン)には様々なタイプがあり、ビーガンは衣食住において動物性商品の利用は極度に避ける最も厳格な菜食主義者。Abdelさんは彼自身のビーガンに対する考えを自身のブログ「Refelexion」(現在、フランス語のみ)に掲載して、世界中の人に動物愛護を訴えている。

Abdelさんはフランス語と英語が流暢に話せる他に、日本語はフランスの大学に在籍中に勉強していたので初歩レベルの会話は話せるという。現在、弊社の街頭調査にも積極的に協力してくださっております。

調査前提

  • 調査日時:2016年12月03日
  • 調査方法:同行インタビュー(場所:京都)

旅程

  • 京阪三条駅付近で昼食を摂る
  • 南禅寺, 永観堂, 法然寺, 銀閣寺 を結ぶ「哲学の道」を歩く
  • 東山地区を散策し、「清水寺」の紅葉を観賞

食券自動販売機は業務効率化だけでなく、インバウンド対策にも効果的。しかし、訪日客の潜在ニーズは満たされず。

今回の出発地点は、京阪三条駅。前回は弊社が指定したレストランに行ってもらったが、今回はNathanさんが一人だったら入りそうな飲食店を選んでもらった。Abdelさんはビーガンで、食べられる品目が限られるため、昼食後に待ち合わせることになった。Nathanさんと共に鴨川にかかった三条大橋を渡り、市街地に向かった。そして、Nathanさんの目に留まったレストランは外食チェーン「なか卯」の河原町三条店だった。私がなぜ入店したくなったのかと聞くと、店先からタッチパネル式の食券自動販売機が見え、スタッフとの言語問題の煩わしさを感じずに注文できるからだという。Nathanさんは大衆向けのチェーン店よりも味のこだわりが強い個人店で食事をしたいが、個人店の場合は 「美味しい店が分からないこと」, 「メニューが読めないこと」, 「スタッフとのコミュニケーションが取りにくいこと」 が理由で心配になり入店をはばかってしまう、と語っていた。

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Nathanさんの大好物は、カレーライス。

「なか卯」では、親子丼やうにいくら丼などの丼物やうどんやそばなどの麺類を売っている。そんな中からNathanさんが選んだのはカレーライスだ。Nathanさんが在籍する大阪大学の学食でもハマったのが、日本風のカレーライス。言葉にはうまく表せないが、インドカレーに比べ、柔らかな味で美味しいという。ちなみに、オススメメニューとして書かれていた「うにいくら丼」はどう思うのか、Nathanさんに聞いたところ、海鮮の生臭さ( “fishy” )が苦手だからあまり食べないという。そして、Nathanさんはラーメンは大好きだが、うどんの味と食感が苦手だ。日本食の中でも好き嫌いがはっきりと別れているが、Nathanさんは全体的には日本食が好きで日本に来てから一度も自炊したことがないという。

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近代的な水路橋が「南禅寺」の境内に溶け込んでいる。

昼食を済まし、Abdelさんと合流し、南禅寺に行くために地下鉄で蹴上駅に向かった。目的は、南禅寺から銀閣寺までの全長2.5キロほどの「哲学の道」を歩きながらの、寺院めぐり。その途中に、紅葉で有名な「永観堂」を拝観できることが、私が「哲学の道」を選んだ理由だ。蹴上駅から徒歩5分ほどで着く南禅寺の境内には琵琶湖から京都を結ぶ水路橋( “Aqueduct” )がある。この水路橋は明治時代に建てられたものだが、周辺の景観に配慮して設計されており、静かな東山の風景にとけこんでいるように見えた。NathanさんとAbdelさんは境内にある近代的な水路橋を見て、珍しそうに写真を撮っていた。

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焼き芋に大満足のAbdelさん。Nathanさんは、お釣りの受け取りでトラブルに。

南禅寺を出て、次に向かったのは永観堂。その道中に、焼き芋を売る屋台を発見。動物性の食べ物を口にしないAbdelさんは興味深々。AbdelさんとNathanさんは1個500円する焼き芋を1つずつ買った。ただ、会計時にトラブル発生。会計は割り勘にして、Nathanさんは1,000円札、Abdelさんは500円玉を差し出すと、売店の方が困惑し、Nathanさんへの500円玉のお釣りを渡し忘れてしまった。Nathanさんは後で気づくも、売店には戻らなかった。ただ、焼き芋の味はAbdelさんもNathanさんも大満足。そして、永観堂の境内に入り、拝観料を確認すると、1,000円だった。焼き芋に500円多く払ってしまったせいか、Nathanさんは1,000円の拝観料は高いと感じていた。私が「銀閣寺の拝観料は600円であること」と「後で紅葉で有名な清水寺も行く」と言ったら、NathanさんとAbdelさんは永観堂をスキップすることに決め、「哲学の道」を通り、銀閣寺まで向かった。

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「法然寺」の一角の紅葉をバックにゆっくり写真撮影を楽しむ。

「哲学の道」は歩道側には桜の木があり、水路を挟んだ山側には紅葉の気があり、春も秋も木々の色が楽しめる。「哲学の道」だけに、AbdelさんとNathanさんは私が理解できないほどの深い哲学的な話をし始めた。銀閣寺に向かう道中には法然寺が見えた。人混みが少ない境内の一角には紅葉をバックに綺麗に見える石塔が立っており、AbdelさんとNathanさんは写真を多数撮っていた。ただ、Nathanさんは石塔の前に電線が引かれており、景観を邪魔していると感じていた。

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ソフトクリームが食べられないAbdelさん。なぜ日本ではシャーベットがあまり売られていないのか、気になっていたようだ。

法然寺への寄り道が終わると、そのまま銀閣寺に向かって歩いた。銀閣寺に着くと、アイスクリーム屋があり、Nathanさんは抹茶とバニラが半々のソフトクリームを頼んだ。Nathanさんによれば、抹茶の苦味とバニラの甘さが半々だとちょうどいいという。動物性の商品を全く口にしないAbdelさんはアイスクリームなどの乳製品も食べられない。Abdelさんはフルーツからできるシャーベットなどは食べられるが、フランスに比べ日本ではあまりシャーベットは売っていないと感じていた。

補足:Abdelさんによれば、ビーガンの間では牛乳などの乳製品の摂取により総合失調症(schizophrenia)を引き起こす可能性があると信じる人がいるのも、乳製品を避ける理由だという。

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Abdelさん、苔が大好き。手入れする職人のきめ細やかさに感動。

銀閣寺の境内に入ってすぐ見える向月台と銀沙灘と呼ばれる砂盛の付近には人混みが激しかった。人混みを嫌うNathanさんは写真を数枚撮った後にすぐ境内の奥側への歩道を進んだ。Abdelさんは特に気に入っていたのは苔( “moss” )だった。Abdelさんは銀閣寺の境内で苔を手入れする職人を見て、日本人の細部への配慮をする精神( “meticulous” )を感じていた。

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Abdelさん、店先のわらび餅が気になり、入店。

銀閣寺を出た後、バスに乗って、清水寺がある東山地区へは30分ほどで到着。東山地区から清水寺に向かって歩き始めるとすぐに視界に入ってきたのは法観寺の八坂の塔( “Yasaka Pagoda” )だ。とりあえず、八坂の塔に向かって歩いていると、Abdelさんは峯嵐堂という和菓子屋の店先に見えるわらび餅が気になり、入店。私がAbdelさんのためにわらび餅が動物性の成分が入っていないかと店員に確認すると、わらび餅はワラビの根から取れるデンプンから作られ、味付けのきな粉は大豆製品だから問題ないと返答。そして、1人の店員がレジを外れ、Abdelさんにビーガン対応されている商品を一つずつ説明。

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Abdelさん、和菓子屋のビーガンに対する親切な対応に感激し、一品購入。

Abdelさんはビーガンに対する優しい接客は日本に来てここが初めてだとびっくりし、結局買ったのは角切八ツ橋。原材料は、砂糖, 米粉, 桂皮(シナモン), きな粉, けしの実。味については、シナモン風味で甘さが抑えれているのが良く、また同じ店に入店したいと語った。食に制限がある方に対してのきめ細かい接客や詳しい商品説明が購入促進をサポートする重要さを感じた。ちなみに、わらび餅を試食した後の感想はやや不評で、Abdelさんは米餅の方が腰のあるモチモチ感があるので好きだと語った。

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Abdelさん、食だけでなく、衣にも制限あり。

清水寺までの道中の会話で、AbdelさんはNathanさんのコートの材質が気になり、Abdelさんが商品タグを確認。Nathanさんが日本で買ったというコートのブランドは「 Urban Research 」で、材質は「毛100%」になっていた。私が「毛」とは動物の毛だと説明すると、ビーガンのAbdelさんは動物愛護の観点から動物性の材質を使った衣料は買わないという。菜食主義だと食べ物の制限が注目されがちだが、人によっては衣服の材質も気にしている人がいる。

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Nathanさん、「清水寺」の人混みで疲れ果ている。

Abdelさんは友人と他の約束があり、清水寺の境内の入り口まで来たところで引き返して帰った。私とNathanさんは清水寺の紅葉を見るために、400円の拝観料を払い、境内へ。すると紅葉のライトアップで人混みが激しく、特に清水寺の本堂がよく見えるスポットは身動きが取れないほどだった。Nathanさんは人混みが苦手なので写真を数枚撮っただけで、すぐに帰りたい様子だったので、30分も経たないうちに帰った。スウェーデンにはない混み具合で、平日の空いた時間帯だったら楽しめるとNathanさんは語った。そして、結局、人混みに疲れてしまい、夕食を摂らずに京都を離れることにした。

補足:ちなみに、世界の人口密度ランキングによれば、日本の人口密度は1平方キロメートルあたり336人で、スウェーデンの人口密度は1平方キロメートルあたり21.88人だ。日本の人口密度はスウェーデンの15.36倍である。

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Nathanさんが一番思い出に残った観光地:「東山地区」

Nathanさんは東山地区の昔ながらの風情を残す路地が気に入った。特に法観寺の八坂の塔が印象に残っているようだ。そして、清水寺に向かう途中に和服を着た女性グループを発見し、一緒に写真を撮る場面もあった。

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Abdelさんが一番思い出に残った観光地:「銀閣寺」

Abdelさんは日本庭園の美しさがお気に入り。特に、苔が大好きだ。苔を手入れする職人の細部へのこだわりを感じて、Abdelさんが日本人に対して抱く真面目で完璧主義であるイメージと重なったという。

koke以上、訪日個人旅行者(FIT)同行インタビューをお届けしました。

Abdelさんが京都旅行の道中で撮った写真をスライド形式に以下のようにまとめました。訪日客の写真を分析することで観光地のどの場所に注目しているのかヒントを得られるのではないでしょうか?

弊社では以前にも訪日個人旅行者に対して同行依頼をし、海外客の目線で旅先 「日本」 の課題を深層分析した実績がございます。同行調査の利点は、調査対象者のニーズを五感で理解することで深層分析ができることや、調査前提が覆ってもその場で個人客に対して臨機応変に質問できる柔軟性があることです。

弊社はインバウンドに関して様々な調査メニューを提供しております。インバウンド市場についての調査に興味がございましたら、以下のお問い合わせフォームより気軽にご連絡いただけますと幸いです。

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