Yuna_Makishima

【地方創生シリーズ】日本各地の情報を海外旅行会社に届けるWebメディア「 JAPAN TIMELINE 」責任者が語る、インバウンド観光における地方の課題と成功例とは。

今回は、弊社、FREEPLUSの地方創生支援事業の一環として、日本各地の観光情報を海外旅行会社の日本旅行担当者に発信するWebメディア、「 JAPAN TIMELINE(ジャパン タイムライン)」責任者、牧島悠奈にインタビューを致しました。

JAPAN TIMELINE の創設当初から現在に至るまで、地方自治体からインバウンド(訪日外国人)の集客に関する様々な課題をヒアリングしてきた牧島が、JAPAN TIMELINE での実例も含め、過去に地方への集客に成功した事例を紹介します。

ここ数年、地方経済の活性化の鍵として、「インバウンド」という言葉がメディアでも多く取り上げられるようになりました。しかしながら、訪日外国人は何を求めているのか、そして具体的に地方は何をしたらいいのか、といった地方自治体からの質問を多く耳にしております。

JAPAN TIMELINE は、情報発信によって、日本の47都道府県を世界の方々と繋げたいという思いからスタートしました。直接、海外旅行会社にツアー商品を販売するランドオペレーター事業を持つFREEPLUSの強みを活かし、今後もより多くの外国人観光客に地方の魅力を知ってもらいたいと思っております。

インタビュー項目

  • Q1. どのような経緯で JAPAN TIMELINE はスタートしましたか?
  • Q2. JAPAN TIMELINE の運営で最も苦労したことは何ですか?
  • Q3. JAPAN TIMELINE の情報からツアー造成に至った例はありますか?
  • Q4. 競合サイトと比べて、JAPAN TIMELINE は何が違うのですか?
  • Q5. インバウンドの誘客において、自治体が直面する課題は何ですか?
  • Q6.  JAPAN TIMELINE 以外にも、どのような地方創生支援事業を行なっていますか?
  • Q7. JAPAN TIMELINE の今後の戦略は何ですか?

JAPAN TIMELINE (ジャパン タイムライン)とは

Screen Shot 2017-03-10 at 11.05.35 PM2014年4月にサービスを開始。地方自治体が発信したい観光スポットや旬なイベント情報などを6言語に翻訳し、Web上に公開。記事の公開と併せて、FREEPLUSが持つ海外旅行会社2,200社以上のネットワークに対し、メールマガジンを発行。2017年2月時点で、自治体との契約件数は30以上を超え、累計投稿数は3,500以上を超えるメディアに成長している。

Q1. どのような経緯で JAPAN TIMELINE はスタートしましたか?

海外旅行会社の「知りたい」と自治体の「知ってもらいたい」のニーズを繋ぐメディアとして始まる

2010年10月に参入したランドオペレーター事業が弊社の主力事業で、海外旅行会社に対して訪日旅行ツアーを造成し、販売をしております。当時、旅先として日本が人気になり始めた東南アジアでは、初めて日本に訪れる海外客を中心にゴールデンルートが人気を集めましたが、やがて東南アジアの旅行会社が現地の競合他社と差別化を図るために、弊社の営業担当にゴールデンルート以外の情報を求めるようになっていきました。その当時、多言語に対応した日本の観光情報は乏しく、東南アジアの旅行代理店がアクセスできたサイトには情報がとても簡素なもので、しかも旬なイベント情報は皆無といった状況でした。

一方、インバウンドのみを対象にした弊社には、自治体の担当者が多く訪れ、地方の観光情報を海外旅行会社に売り込もうと、パンフレットを持ってこられることがより多くなりました。やがて、パンフレットの数量も海外旅行会社に直接お渡しができなくなるほどまでに増えていきました。

そこで、日本の地方観光情報に関して、海外旅行会社の「知りたい」というニーズと地方自治体の「発信したい」というニーズを繋げるサービスとして、JAPAN TIMELINE(ジャパン タイムライン)を始めるに至りました。

Q2. JAPAN TIMELINE の運営で最も苦労したことは何ですか?

最初の1年間、無料サービスとして始めたが、都道府県の情報発信に対する意欲は低かった

JAPAN TIMELINE がサービスを開始した当初は、観光情報のコンテンツ作成に専念しました。当時、地方自治体のインバウンドに対する意識はまだ低く、自治体が弊社のサービスを利用するものの、弊社から自治体の方にコンテンツを作成していただけるように催促をすることも多くありました。そのため、海外旅行会社がWeb上で閲覧できる観光情報の拡充を図ろうと、コンテンツを当社側で作成することも少なくありませんでした。ただ、サービス開始から1年間は旅行情報の掲載と翻訳を無料で提供したこともあり、JAPAN TIMELINE に登録した都道府県の数は1年間で25まで伸びました。

サービス開始から1年後、有料サービスに切り替えると、佐賀県が契約を更新。

2015年4月、サービス開始から1年経った頃に、JAPAN TIMELINE での情報量も増え、さらなる情報の掲載と翻訳に対するサービスを有料化することに踏み切りました。切り替え時に有料プランで続けるという意思決定をしてくださった唯一の都道府県が、佐賀県でした。

佐賀県はインバウンドの集客に関してかなり早い段階から着手していた

佐賀県は早い段階で同県に訪れる国内旅行者が増えるとは考えておらず、外国人観光客への情報発信に積極的でした。佐賀県はタイ映画「タイムライン」(2014年)やタイドラマ「きもの秘伝」(2015年)のロケ地に選ばれるなど、海外メディアのロケ地招致にも取り組んでいます。この映画とドラマの舞台にもなった佐賀県の祐徳稲荷神社はタイ人観光客が急増し、JAPAN TIMELINE でも祐徳稲荷神社のタイ語での閲覧数が東京を抑え、1位だった時期が長く続きました。

現在は、市町村の細かい情報を発信しているメディアとして成長

JAPAN TIMELINE の有料化に切り替えた段階で、都道府県との契約数は1件まで減りました。しかし、自治体とのやりとりの中で、都道府県が契約をしていなくても、市町村が情報発信のニーズを抱えているケースが多くあるということに気付きました。そこで、日本に1,700以上ある市町村に対して、JAPAN TIMELINE のサービスを提供できるよう、方針転換をしていきました。

Q3. JAPAN TIMELINE の情報からツアー造成に至った例はありますか?

兵庫県養父市:関西のツアーで冬の「雪」ニーズを満たすことができた

JAPAN TIMELINE で発信した地方の情報から、海外旅行会社がFREEPLUSにツアーの造成を依頼した例もあります。2015年12月、兵庫県養父市が JAPAN TIMELINE で、「ハチ高原スキー場、2015年は12月5日オープン予定!」というタイトルで記事を掲載したところ、ベトナムの旅行会社からVIPのツアーにハチ高原スキー場を入れたいという要望があり、2016年2月にそのツアーが実際に催行されました。

東南アジアの旅行会社が「雪」で連想する観光スポットは、北海道と富士山でした。関西で上質なパウダースノーが楽しめる場所を知らない旅行会社も多く、養父市が掲載した情報により、関西でも「雪」のニーズが満たせるとPRすることができました。

1_ベトナム養父市以上、ベトナムの家族ツアーの風景

補足:「ハチ高原スキー場」にベトナムのお客様をお迎えしました!にて、ツアーに参加したベトナム人客の感想を掲載しました。

静岡県河津町:ハイシーズンを避け、いち早く桜を楽しめるツアーを提案

最近の例だと、JAPAN TIMELINE で現在特集している静岡県河津町の河津桜を見に行くツアーが2016年の2本から2017年の10本ほどまで増えました。河津桜の特徴は、毎年2月〜3月に満開を迎えることです。通常の桜シーズンの4月よりも早く、訪日旅行の繁忙期とも重ならないことも、海外旅行会社にとって好都合なのです。

2_ミャンマー河津桜ミャンマー少人数ツアーの様子

Q4. 競合サイトと比べて、JAPAN TIMELINE は何が違うのですか?

海外旅行会社への営業力を誇るFREEPLUSだからできる、情報発信から集客までの訪日旅行の総合サポート

JAPAN TIMELINE のように、日本の旅行会社が海外向け情報発信メディアを運営するケースは弊社、FREEPLUSのみであると自負しております。

ただ、競合サイトはいくつかあります。最も有名なのは、外国人個人観光客向けの情報発信メディア、japan-guide.com です。しかし、対応言語は英語と中国語(繁体語)のみになっています。

日本政府観光局(JNTO)が運営する外国人観光客向けの情報発信サイトは、JAPAN TIMELINE の対応言語を含め、15ヶ国語に対応しています。

弊社、FREEPLUSが運営する JAPAN TIMELINE は、取引数が多い東南アジアの主要言語( 英語, 中国語, タイ語, ベトナム語, 韓国語, インドネシア語 )に対応しております。情報発信サイトの運営だけでなく、ランドオペレーター事業の営業力を活かし、海外旅行会社に対してツアーの提案から販売までを一貫した対応ができます。他社サイトに比べ、訪日外国人を地方に直接送客する販売力があります。もちろん、個人旅行者(FIT)から JAPAN TIMELINE を閲覧することも多く、海外の幅広い方々に読まれているメディアでもあります。

東南アジア各国で英語力はまちまち、多くの旅行会社の担当者は各国の母国語での閲覧を好まれる

JAPAN TIMELINE は東南アジアの主要言語、タイ語, ベトナム語, インドネシア語 の翻訳対応を行なっていますが、自治体からは対応言語が英語や中国語だけで十分では、というご意見を頂戴することが多くあります。東南アジア各国の担当者が弊社スタッフと英語で会話することも多いが、母国語のタイ語やベトナム語などを好まれるケースも少なくなく、東南アジアの主要言語に翻訳された日本の旅行情報は重宝されています。

補足:スウェーデンに本社を構え、語学留学を主事業とする EF Education First の「世界最大の英語ランキング」によれば、東南アジア各国の英語力は シンガポール, マレーシア, フィリピン が高い評価を受ける一方、ベトナム, インドネシア, タイ は標準以下となっています。ちなみに、日本人の英語力は低いという評価になっています。

Q5. インバウンドの誘客において、自治体が直面する課題は何ですか?

自治体のホームページよりも “まとめサイト” の方が利用率が高い

JAPAN TIMELINE のような情報発信メディアを利用する以前に、自治体の方々はその自治体の公式ホームページをまず多言語化したいという声を耳にすることがよくあります。ただ、外国人旅行者が実際に自治体の公式ホームページを参考に旅程を立てることは少ないと感じています。日本のレストラン検索で「食べログ」や「Retty」を利用するように、外国人の日本旅行でも既によく見られている “まとめサイト” に情報を掲載した方が地方の認知度が上がりやすいと思います。

訪日外国人の受け入れ体制に先行投資する前に、まずは地方を「知ってもらう」ことが重要

海外に情報を発信する以前に、看板の多言語化や外国人観光客への “おもてなし” 研修など、受け入れ体制を整える必要があると仰る自治体の方々が多いです。ただ、手探りでインバウンド対応を始めた自治体の方が外国人観光客の集客に成功しているケースも少なくありません。

例えば、海外でも “スノーモンキー” として人気を集める長野県山ノ内町の地獄谷野猿公苑は8年ほど前に、大手海外メディアの BBC, National Graphic, Lonely Planet などで取り上げられたことを契機に、外国人観光客も増えました。今では、山ノ内町で外国語表記の看板を多くなったものの、約5年前までは、バスの時刻表が日本語のみの表記が多く、道に迷う外国人観光客を多く見かけました。しかし、インバウンドの受け入れ体制が整っていなくても、地獄谷野猿公苑に対して目立ったクレームなどを外国人観光客から聞くことはありませんでした。

インバウンドの集客が見込めるまでは、訪日外国人の受け入れ体制の整備に先行投資するよりも、まずは地方の観光情報を知ってもらうことが必要だと思います。地獄谷野猿公苑のように、海外への情報発信が集客に繋がった後でも、受け入れ体制の拡充を図っても遅くないと感じます。

Q6. JAPAN TIMELINE 以外にも、どのような地方創生支援事業を行なっていますか?

2017年1月、富山県立山町から誘客調査事業を受託、タイから旅行事業者と人気ブロガーを招聘

JAPAN TIMELINE の情報メディア事業から始まり、今では多種多様な地方創生支援事業にも携わっています。最近の例だと、北陸信越運輸局から立山黒部アルペンルートで有名な富山県立山町におけるインバウンド冬の誘客調査事業を受託しました。立山黒部アルペンルートが閉鎖になる冬の11月〜3月の冬季は観光客が著しく減少すること、そして東西に広く伸びる立山町の東部で楽しめる雪の立山ウォークが注目を集める一方で立山町の中央部から西部までは観光消費が伸びないという主に2つの課題がありました。

タイの有力旅行代理店数社、及び約30万人のフォロワーを持つタイの人気ブロガーを立山町に招聘し、視察ツアーを実施しました。具体的には、護符作り, 陶芸体験, 寒餅作り, 煎餅の手焼き体験 などをしてもらい意見交換を行いました。特に印象に残ったのは、日本国内で教育旅行としての利用が多い国立立山青少年自然の家でタイの視察メンバーはソリやチューブ滑りなどの雪遊びを楽しんでいたことでした。大人の雪遊びと言えば、スキーやスノーボードを思い浮かべるかもしれませんが、東南アジアでは雪を直に見る機会がないため、スノースポーツよりも単純に雪を触れる体験を好むケースが多いです。

そして、最も驚いたのは、タイの視察メンバーがほぼ満場一致で1番美味しかったと答えた食事は立山町の郷土料理ではなく、国立立山青少年自然の家の食堂メニューでした。特に、カレーライスとフライ物がお代わり自由で、大人気でした。この食堂での食事は質素に見えましたが、地元産食材を優先的に使用するなどのこだわりがあり、タイ人のお口にも合うようでした。

2017-03-10以上、立山町の誘客調査事業に参加した タイのブロガー, タイの旅行関係者, 自治体の担当者

補足:北日本新聞の記事「冬の立山観光いかが 町や観光協がタイの旅行業者招きPR」にて、立山町の誘客調査事業の一部が取り上げられました。

2017年2月、栃木県那須塩原市観光局のSNS代行運用をスタート、個人客にも地方の魅力を発信

他にも、2017年2月から栃木県那須塩原市観光局のSNS代行運用を受託しました。Facebookの英語中国語(繁体語)タイ語のページを通じて、須塩原市の観光スポットを紹介しています。東南アジアはSNSの利用率が日本よりはるかに高く、各自治体の公式ホームページを多言語化するよりもSNSの発信を他言語化した方がリーチ数が増え、地方の認知度を上げるのにより効果的だと感じています。例えば、訪日客が最も多い東南アジアのタイでは、SNSの1日当たりの利用時間は平均3時間で、日本の平均30分に比べて6倍の時間をSNSに費やすという統計もあります。

那須塩原市は東京駅から東北新幹線で75分の距離にあり、日光よりも北に位置します。長期滞在型で疾病の温泉療法を行う湯治場や綱につかまってお湯に浸かる立ち湯などの独自の温泉文化がある他、梅, 桜, 水仙, 紫陽花, 紅葉 など季節の花々があり、滝や吊り橋など自然を感じさせるスポットも数多く存在します。

SNSの運用の利点として、ウェブサイトのアクセス数を分析するだけでなく、それぞれの投稿で閲覧者が残したコメントや「いいね」を押した人の属性( 性別, 年齢層, 国籍 )をより深く分析し、インバウンドが何に着目しているのか分かることです。例えば、シンガポールからの閲覧者は花の投稿に対しての「いいね」が多いのに対し、台湾では温泉に対しての「いいね」が多いです。そして、Facebookの投稿の対象年齢層を20代〜30代と設定していたが、台湾では40代〜50代からの「いいね」が多く、日本の同じ地域でも国籍別で興味に感じることの違いがわかりました。

Q7. JAPAN TIMELINE の今後の戦略は何ですか?

海外旅行会社がツアー商品を作りやすくするために、モデルルートを拡充

今後の戦略として、JAPAN TIMELINE が掲載しているモデルルートを拡充していきたいですね。海外旅行会社が旅行商品化しやすくするためにも、旅程のサンプルを増やすことは重要だと感じています。

最近の例だと、関東のツアーに山梨県甲府市を旅程に入れたモデルルートを作成しました。すでに掲載している 北海道, 九州, ゴールデンルート, アルペンルート, 関東ルート, 関西ルート 以外にも地方を旅程に組んだモデルルートを作成する予定です。

より多くの掲載情報を見てもらうために、JAPAN TIMELINE のユーザビリティを向上

JAPAN TIMELINE のデザイン(見栄え)とユーザビリティ(使いやすさ)を向上させるため、Webサイトのリニューアルを考えております。ご存知でない方も多いと思いますが、FREEPLUSは訪日旅行事業の他にSEOを主軸とするWebマーケティング事業を抱えております。海外旅行会社、及び外国人旅行者に日本各地の情報をより分かりやすくお伝えできるように尽力して参りますので、JAPAN TIMELINE のリニューアルをご期待ください。

以上、地方創生本部の牧島悠奈とのインタビュー内容をお届けしました。

3_集合写真以上、FREEPLUSの地方創生本部メンバーの社内風景

弊社、FREEPLUSには、JAPAN TIMELINE の他にも、海外への営業力を持つランドオペレーター事業, 訪日中の外国人から “生” の声を収集・分析するリサーチ事業, 影響力の強いインフルエンサーによるプロモーション事業 など、多種多様な訪日関連事業に参入しております。訪日外国人の地方への誘致に関わる様々な要望や相談に対し、幅広い提案とサービスを提供し、自治体と共に解決策を考えていきたいと思っております。

INBOUND RESEARCH .jp では、インバウンドの自主調査記事を隔週、配信しております。インバウンド市場についてのプロモーションや調査に興味がございましたら、以下のお問い合わせフォームより気軽にご連絡いただけますと幸いです。

Comments

comments

お問い合わせ
新着調査データ