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【海外旅行会社インタビュー】外国人旅行者に人気の海外旅行先をアジア主要11ヵ国44社の現地旅行会社に聞いてみた

今回は、FREEPLUSがランドオペレーターとして取引しているアジア主要11ヵ国44社に対してアジア各国の海外旅行の市況についてヒアリングし、アジア各国で海外旅行のツアー商品を扱うスペシャリストに現地で旅行客と接する中で感じる今後の海外旅行需要についてインタビューをいたしました。

果たして、海外旅行先としての日本を、海外旅行会社はどう感じているのでしょうか?

調査前提

  • 調査時期:
    • 東アジア:2017年2月4日〜2月10日
    • 東南アジア:2017年1月11日〜1月13日
  • 調査方法:
    • 海外旅行会社インタビュー(アジア主要11ヵ国44社)

インタビュー対象調査国FREEPLUSは訪日旅行のツアー商品を販売するランドオペレーターとして海外旅行会社との取引実績は28ヵ国610社(2017年3月31日時点)に及んでおります。今回のレポートは調査期間中に電話で回答が得られたアジア主要11ヵ国44社の担当者とのインタビュー内容をもとに作成しました。

調査項目

  • Q1. あなたの国の旅行者にとって人気の海外旅行先だと感じる上位3カ国まで挙げてください。(注:日本を比較対象とするため、東南アジアの旅行会社には東南アジア以外の海外旅行先を選んでいただきました。)
  • Q2. あなたが海外旅行先として第1位に選んだ国の理由は何ですか?
  • Q3. 去年に比べて、今年は海外旅行をする人が増えると思いますか?(注:海外旅行者は団体客と個人客を含む)
  • Q4.  海外旅行ニーズの増減だけでなく、予想される旅行ニーズの変化は何ですか?
  • Q5. 他の国に比べて、「日本」の観光地としての魅力と課題は何ですか?
  • Q6. 今年、人気になる可能性が高い日本の「地方」観光地はどこですか?(注:インバウンドの訪問率が高い上位3都道府県、東京, 大阪, 京都 を除く)
  • Q7. あなたがQ5で選んだ「地方」が人気になると思う理由は何ですか?

第一回の今回は、Q1〜Q4に関する外国人旅行者の海外旅行市場についてまとめました。次回は、Q5〜Q6に関する外国人旅行者の訪日旅行市場についてのインタビュー結果をお届けします。

アジア主要国の海外旅行先ランキング

Q1. あなたの国の旅行者にとって人気の海外旅行先だと感じる上位3カ国まで挙げてください。

外国旅行先の人気度調査注:各国の旅行会社が挙げた 1位の国に3ポイント, 2位に2ポイント, 3位に1ポイント を加算し、国別で海外旅行先の人気度を算出しました。

日本のライバルとなるアジアの人気海外旅行先、「韓国」と「ヨーロッパ」

地理的に近く親近感を感じるからか、全体的に東アジア諸国( 中国, 台湾, 香港 )に対する日本の人気度が東南アジア諸国よりも高い結果になりました。海外旅行先として日本のライバル国として意識されているのは、韓国とヨーロッパだということが分かりました。韓国はインドネシアとマレーシアで特に人気で、ヨーロッパは シンガポール, インド, ミャンマー に特に人気な傾向がありました。

Q2. あなたが海外旅行先として第1位に選んだ国の理由は何ですか?

【中国】安さと近さから東南アジアも人気、THAAD問題で揺れる韓国は人気後退の予感

北京の旅行代理店2社は海外旅行先の人気な国として日本を第1位に挙げ、上海の1社と浙江省の1社からは人気国として東南アジアの タイ, マレーシア, シンガポール が挙げられました。

日本が人気な理由として、地理的に近いことやショッピングの際に品質が担保されているとの回答がありました。タイについては物価の安さと距離の近さとの回答があり、上海からバンコクの飛行時間は約4時間30分で上海から東京の飛行時間の約3時間よりも長くなりますが、さほど距離の差は感じないようでした。マレーシアに関しては2016年末くらいから同国通貨のリンギットが東南アジア通貨の中で顕著に下がったことや、シンガポールに関しては景観の良さが人気の理由として挙げられました。

実際、2016年末時点では、中国からの訪問者数は日本よりも韓国の方が多かったのですが、中国特集記事でも取り上げたTHAAD問題の影響からか、韓国を第1位の人気国として挙げた中国の旅行会社はありませんでした。

【台湾】アジア圏内で日本に対する人気度が最も高い

今回の調査に参加した台湾の旅行会社19社の全社が日本を海外旅行先として最も人気だと回答しました。第2位以降は、韓国, 東南アジア, 中国 といった回答が多く、東南アジアで国名が挙がったのはタイとシンガポールでした。

日本が人気な理由として、「清潔感がある」, 「礼儀正しい」, 「四季がある」, 「買い物天国」, 「食べ物が美味しい」, 「台湾から近い」, 「歴史や文化が豊か」, 「日本語には漢字が多く分かりやすい」 などが挙げられました。総じて台湾の日本に対する印象はとても良く、日本に対する人気度はアジア圏の中で最も高いという結果になりました。

【香港】韓国が人気な理由に安さ、日本が人気な理由に美食と距離の近さ

【タイ】期間限定のビザ無し措置で台湾が人気

2016年8月1日から2017年7月31日までの1年間に限定し、台湾はタイ人観光客に対してビザ無しの入国を可能にしたため、台湾が人気旅行先として浮上しているという回答がありました。2017年4月18日にはその期間限定のビザ無し措置を2018年8月31日まで延長されることになり、今後のタイから台湾へ旅行客の増加による訪日客への影響が懸念されます。

【ベトナム】ドバイ行きのツアーが流行っている、韓国も日本との価格差から需要が高い

ベトナムの旅行会社2社はドバイを海外旅行先として第1位に挙げ、1社からは3泊4日のドバイツアーを23,900,000ドン(約11万7500円)で売り出しており、3泊4日の日本ツアーとさほど値段差はない程度まで下がり、ビザの取得もさほど難しくないとの回答がありました。ツアー内容ではショッピングが人気だそうで、世界最大級のドバイモールなどの大型ショッピングモールが人気の秘訣だと考えられます。もう1社からはベトナムではドバイ旅行が流行っており、ドバイに行った友人などがFacebookに載せた写真を見て行きたくなった旅行者が多いとの回答がありました。ドバイでは世界一の高さを誇るブルジュ・ハリファや最高級ホテルのブルジュ・アル・アラブの外観など、まさに「絵になる」近未来的建築物の写真がベトナム観光客の旅行ニーズを駆り立てていると考えられます。

韓国は日本よりも人気度は高く、韓国の旅行関係者による宣伝や文化紹介イベントが盛んで、テレビでの露出も多いと感じているとの回答もありました。また、訪日ビザは訪韓ビザに比べてやや簡単との声があり、さらなるビザの緩和策などで今後の旅行先選びにも影響が出そうです。弊社のベトナム担当スタッフによれば、3泊4日の韓国ツアーの平均価格は10,990,000ドン(約5万4000円)で日本ツアーに比べて約半額の値段で行けるのが人気の秘訣になっており、韓国ツアーではロッテなどの免税店ツアーも多く組まれているとのことが、韓国ツアーの低価格化に繋がっているとも考えられます。

【インドネシア】韓国の人気度が東南アジア内で最も高かった、理由は圧倒的な安さ

インドネシアの旅行会社の5社中4社は韓国を人気第1位の旅行先として挙げ、その理由として4社ともツアー価格の安さと回答しました。価格感として40%から70%ほど安いとの回答がありました。残りの1社は日本が最も人気な国と挙げ、その理由は日本行きの航空券のプロモーションがあったからと回答し、やはり値段には敏感に反応している印象でした。日本に優位な回答として訪日ビザは訪韓ビザよりも取得がやや簡単とありました。1社からはインドネシア人客の中にはまずは遠出したいというお客様も多く、安さからまずは韓国を選ぶ方も多いとの回答もありました。

【フィリピン】全体として西洋諸国の人気が高い、中東の聖地巡りが一部の客に根強い人気

海外旅行先として、アメリカ, ヨーロッパ, オーストラリア の西洋諸国の人気度が東南アジアの他の国に比べて比較的高く、その理由に高い英語力や西洋に対する興味があると推測されます。1社からは中東の聖地巡り( エジプト, イスラル, ヨルダン )が最も人気だと感じているという回答があり、未だに法律上では離婚が認められていないなど、カトリック色が強いお国柄が現れる結果になりました。日本に関しては数次ビザの緩和が人気の理由との回答がありました。

【マレーシア】オーストラリアが人気になった理由に通貨が以前よりも安くなったこと

【シンガポール】アジア圏内でヨーロッパに対する人気度が最も高い

シンガポールの旅行会社1社は春から夏にかけてスカンディナビア半島とギリシャへの旅行ニーズを強く感じており、ドイツでは春のチューリップ祭りもとても人気だと回答されました。韓国の人気度に関してはシンガポールに韓国のコスメや飲食店チェーンが進出するなど、韓国への興味が高まっている上に、値段やサービス内容も良いともう1社から回答がありました。

【インド】遠出する時は西洋諸国、小旅行はインド国内か近隣諸国

インドの旅行会社による人気海外旅行先トップ3には日本はランクインしませんでした。ヨーロッパではイギリスが最も人気で、次いでスイスという順番になりました。アメリカとイギリスが人気になった背景には英語が話せるインド人において行きやすい国になっているとも考えられます。小旅行として、インド国内, タイやマレーシア などの近隣諸国が人気とのことでした。

【ミャンマー】ヨーロッパは一回の旅行で何カ国にも行けるお得感がある

ミャンマーは長期間、軍事政権だったため、海外旅行に慣れていない方が多く、海外旅行には基本的にビザを取得が必要なケースがほとんどなため、旅行会社を通じての旅程手配が大半だという特徴があります。あまり海外旅行を経験されたことがないからか、日本1カ国だけを訪問するよりも少し価格が高くてもヨーロッパを5〜6カ国を訪れた方がお得感を感じるという回答がありました。

アジア主要国の海外旅行需要の予測

Q3. 去年に比べて、今年は海外旅行をする人が増えると思いますか?

海外旅行需要の今後予想今後の海外旅行ニーズが減ると答えたのは台湾1社とインド1社に留まり、香港, タイ, ベトナム, インドネシア, フィリピン では今後も海外旅行ニーズが増え続けるとの回答がありました。これらの国々の市況の良さを表す結果となりました。

「減る」との意見:インド・ルピー安と突然の高額紙幣の流通中止

インドに関しては調査期間中の2017年1月はドルやユーロが対インドルピーで高くなり、海外旅行先として意識されているアメリカやヨーロッパへの旅行意欲は下がるとの回答がありました。為替に関しては、2017年5月8日現在ではドルとユーロは対インドルピーで2017年1月に比べ低くなっており、海外旅行の市況が改善したと推測されます。

さらに、国全体を騒がせたニュースとして、インドのナレンドラ・モディ首相が2016年11月8日に突然、高額紙幣の1,000ルピー紙幣と500ルピー紙幣を法的通貨でなくなると発表したことで、現金取引が多く、クレジットカード利用率が低かったインドで混乱が生まれました。今ではデビット機能の電子マネー決済が代わりに増えたようですが、インド人の海外旅行需要にも一時的な影響があったと考えられます。

「変わらない」との意見:台湾とシンガポールの海外旅行市場は成熟期に、ミャンマーとマレーシアは通貨安に見舞われる

台湾の海外旅行ニーズは「変わらない」との意見が多数派で、「増える」と予想する他国に比べてるとネガティブに感じられます。見方によっては、発展著しい東南アジアに比べ、台湾はGDPの成長率が低いため、台湾の海外旅行需要は成熟期に入ったとも考えられます。ただ、台湾は訪日意欲が他国よりも高いという結果だけに、台湾の経済状況が訪日市場に与えるインパクトが気になるところでもあります。東南アジア随一の先進国、シンガポールも経済成長が安定化したという意味で、海外旅行需要に変化がないという意見も出たのかもしれません。

ミャンマーとマレーシアに関しては、通貨が2016年末くらいから東南アジア通貨の中で、著しく下落しています。この通貨安により、ミャンマーやマレーシアからの海外旅行需要に大きな悪影響を及ぼすとも考えられます。

ミャンマーの通貨、チャットは対円で昨対比で18%ほど下落しました。ミャンマーでは、2016年11月にミャンマー軍によるロヒンギャ弾圧問題を静観したとして、ノーベル平和賞を受賞した経験を持つミャンマーの実質的指導者、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相が国際的に非難を浴び、人権問題に対する指導力が問われています。そして、Bloombergによれば、ミャンマーの今後の経済戦略に対する不透明感による海外からの投資や輸出の減少によりミャンマーの経常赤字が拡大し、ミャンマー中銀が抱える外貨準備高は50億米ドルまで減少したことで、チャット安にミャンマーの対抗余力も減ったとの懸念もあります。通貨安を象徴させる出来事として、市中のドルレートではチャットが公式のレートよりも安くなっており、対応措置としてドル預金の引き出しが制限されるまでに発展しました。

マレーシアの通貨、リンギットは対円で昨対比で14%ほど下げました。CNBCによれば、マレーシアの外貨建て負債はGDPの40%を少し下回る水準までに膨らんでおり、2017年11月の米大統領選後に進んだドル回帰により、マレーシア経済は為替に影響されやすいという特徴があります。また、原油安によるマレーシア経済の不透明感も重なって、リンギットはアジア通貨危機以来の安値で推移し、マレーシア国立銀行が為替介入するまで発展しました。

Q4. 海外旅行ニーズの増減だけでなく、予想される旅行ニーズの変化は何ですか?

旅行スタイルの変化として、FIT化, ツアーの簡素化, 地方へのニーズ拡大

旅行スタイルの変化として最も多く挙がったのはFIT化でした。若年層を中心にOTAを利用して、個人で海外旅行を楽しむ旅行客が増えるといった回答が多数ありました。ツアー価格の安さを一段と追及されるようになるとの回答が次に多く、旅行会社間での価格競争がさらに激しくなっているという様相を呈しております。

台湾の旅行会社1社からは東京や大阪の人気路線は減り、九州や四国などの地方へのニーズが高まってくると予想し、興味がある旅行先が都市から地方へ移っているようです。タイの旅行会社1社からはツアーが少人数化しており、ツアー内容もツアーガイドや旅程を必要とするフルパッケージからホテルのみなどのシンプルなパッケージが求めるようになったとの声もありました。

以上、旅行会社インタビューをお送りしました。

今回は外国人旅行者の海外旅行市場に関するインタビュー内容をお届けしました。次回は日本の地方に焦点を当て、外国人旅行者の訪日旅行市場に関する内容をお送りします。

FREEPLUSでは、一般的な市場調査会社とは違い、ランドオペレーターとして構築した海外旅行会社とのネットワークを生かしたインタビューも得意としております。海外現地で旅行を熟知した担当者に直接ヒアリングすることで、各国の旅行トレンドをより深く理解することが可能です。

INBOUND RESEARCH .jp では、インバウンドの自主調査記事を隔週、配信しております。インバウンド市場についてのプロモーションや調査に興味がございましたら、以下のお問い合わせフォームより気軽にご連絡いただけますと幸いです。

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