Instant Ramen Museum

【訪日客同行調査】”旅慣れた” フィリピン人観光客の「コト消費」に注目、関西7泊8日の体験レポート!意外にも大阪のこんな所に大満足!

今回は、海外旅行は好きだが日本に訪れるのは初めてというフィリピン人夫婦、MarvinさんとEdelweissさんの大阪での1日に密着取材を行い、そして他にも行ったという姫路城と京都についても聞き取り調査を行いました。以前に、神戸でスウェーデン人, 京都でフランス人, 高野山でシンガポール人 を密着取材し、訪日旅行客の目線から観光立国を目指す日本の魅力や課題を解説してきました。以前のレポートとは一風変わり、今回のレポートはメディアではあまり取り上げれらない「コト消費」の違った側面を旅行者の生の声をもとにまとめました。

モノ消費からコト消費へのシフトとは、どういうコト?

「爆買い」が流行語大賞になった2015年以降、中国政府の関税強化もあり、訪日外国人1人あたりの買い物額は減少傾向にあります。そこで、国内メディアでは、訪日外国人の消費内容が「モノ消費」から「コト消費」にシフト、といった記事を多く目にするようになりました。ただ、「コト消費」というネーミングは「モノ消費」にこじつけられたかのように、あたかも「コト=体験」はモノと似た消費活動であるかのように錯覚させるような記事が目立つようになりました。

人によって概念が異なる「コト=体験」、「コト」は直接的な消費を伴わないことも多々

着物の着付け体験や寿司作り体験など、消費を伴う体験もあれば、ハイキングや単に現地の方と話すことも「体験」であり、体験を受ける人の最終的なゴールが直接的な消費に結びつかないケースも多くあります。そのため、「体験」の定義は幅広く、人によって概念が違い、曖昧な分野でもあります。「爆買い」が収縮したことで、次は「コト消費」がメディアで持てはやされ、ごく限られた「コト消費」が脚光を浴びていることも否めません。そのため、メディアで取り上げられる「体験」は、ごく一部分だけ切り取られたものでありのままの事実ではないと私は感じております。

今回は、「コト消費」のたった一例ではありますが、インバウンドの取材活動を続けてきた私が「旅慣れしている」と感じたフィリピン人夫婦の関西7泊8日で満足度が高かったと回答した「体験」を調査し、以下のレポートにまとめました。

オーストラリア在住のフィリピン人夫婦、MarvinさんとEdelweissさん

Marvin(マービン)さんの出身はフィリピン南部ミサミス・オリエンタル州カガヤンデオロ市。Edelweiss(エーデルワイス)さんの出身はフィリピン中部アルバイ州レガスピ市。Marvinさんはフィリピンの首都マニラでフィリピン大手銀行の資産運用部門で働いる時に外部監査として訪れたEdelweissさんに出会う。そして、2人はフィリピンからシンガポールに渡り、シンガポールでの5年間勤務を経て、現在オースラリアのメルボルン在住。MarvinさんとEdelweissさんは旅行好きで、渡航先はビザが不要な東南アジア内が中心だが、アメリカやヨーロッパの国々での旅行経験も豊富。ただ、日本への渡航は今回の取材が初めて。

統計から分かる、フィリピンの特徴

フィリピン、GDPの約1割が海外在住のフィリピン人からの送金で占める

フィリピンの特徴として、学校では国語や歴史以外の授業は英語で行われることが多く、母国を離れ、海外で働くことも珍しくありません。この傾向を象徴する統計として、海外からフィリピンへの個人送金額がフィリピンのGDPの約10%を占めており、東南アジアでは最も高い水準になっています。フィリピンの主な輸出物として「人材」と言っても過言ではないでしょう。

訪日フィリピン人客、傾向として海外居住率とFIT率が高い

観光庁が発表する訪日外国人消費動向調査では、2016年に日本に訪れたフィリピン国籍者のうち、Marvinさん夫婦のように居住地が母国のフィリピン以外である人が4.1%と、統計があるアジアの国の中ではインドの7.3%に次いで高く、主に米国(1.5%)やシンガポール(1.1%)からのフィリピン人観光客が多いとの結果になっています。さらに、観光目的で日本に訪れるフィリピン国籍者のFIT(個人旅行客)比率は92.8%とアジアの中で最も高く、個人旅行を好む傾向が強くあります。

旅程

  • 旅行先:姫路(日帰り), 京都(5泊), 大阪(2泊)
  • 旅行期間:2月17日〜2月24日(7泊8日)
  • 調査日:2月23日(調査場所:大阪)

関空から日帰りで行ける場所として、姫路城をチョイス

JR西日本の1日パスをフル活用、適用エリア内で遠い場所へ

日本到着初日、Marvinさん夫婦を乗せた飛行機は予定よりも3時間ほど早く関西空港に到着し、京都に直接向かう予定を急遽、日帰りで姫路に行く予定に変えました。その理由として、関西空港からの移動でJR西日本の1日パスを訪日外国人向け価格の2,300円(当日パス)で購入し、1日パスをフル活用するために大阪から日帰りで行ける旅行先をインターネットで調べ、姫路城に行くことにしたとのことでした。

インターネット検索で、日帰り旅行として姫路城をチョイス

Marvinさん夫婦はどのサイトをみて、姫路城を旅先と決めたかは覚えていないようで、「 Side Trip from Osaka 」(大阪からの日帰り旅行)をGoogleで調べたと答えました。検索結果の一例ではありますが、実際にそのキーワードをGoogleで検索してみると、旅先に詳しい旅行者が記事を投稿するサイト、TripZilla の “10 Great Trip Ideas from Osaka” が最上位に表示されていました。この「大阪から行けるおすすめの旅行先10選」についての記事の説明を要約し、以下にまとめてみました。

  • 奈良:東大寺や春日大社が有名で、奈良公園では鹿とも直に触れ合えると紹介。
  • 京都:清水寺, 錦市場, 金閣寺, 銀閣寺, 嵐山, 伏見稲荷, 祇園 が主な観光スポットとして紹介され、日帰り旅行よりも長期ステイがおすすめ。
  • 神戸:六甲山からの景色, 有馬温泉, 神戸牛, 阪神淡路大震災の爪痕が残るメリケンパーク, 地震について学べる人と防災未来センター がおすすめ。
  • 高野山:1,200年前から続く仏教徒の巡礼地で、奥の院や壇上伽藍が有名。他にも弁天岳でのハイキングや宿坊がおすすめ。投稿者も2度訪れた好きな場所として紹介。
  • 姫路城:現存する天守閣を持つ国内12城の1つ。公家大名や侍の当時の暮らしぶりを感じさせるお城。近くにある好古園で茶道体験もおすすめ。
  • 城崎温泉:昔ながらの温泉町で夜には浴衣を着た温泉客もいて、川辺の柳並木が美しく、8世紀にタイムスリップした気分に。大阪でのショッピング疲れにおすすめ。
  • 吉野山:ハイキングスポットや桜の名所として紹介。
  • 伊賀市:かつての忍者村として紹介。伊賀流忍者村のガイドツアーや江戸時代に侍学校だった旧崇廣堂もおすすめ。
  • 伊勢:伊勢・安土桃山文化村では、等身大の安土城など、侍が国を統治した時代の街並みを再現。伊勢神宮やしめ縄で結ばれている夫婦岩も観光スポットとしておすすめ。
  • 広島と宮島:原爆ドームと平和記念資料館で原爆投下当時の歴史を知ることができる。広島からフェリーで行ける宮島もおすすめ。

Marvinさん夫婦の立場だったら、あなたはこの情報をもとにどこに行きますか?

上記の記事には観光地の説明だけでなく、親切に行き方も簡単に記載されており、旅行者だったら「観光地の魅了」や「時間の制約」をもとに決めることでしょう。

訪日外国人の情報入手経路を調べるのに役立つキーワード検索、サイト運営者は海外SEO対策が重要

訪日外国人の行動導線を理解する上で重要になるのは、旅程のもとになる情報源です。一般的なアンケート調査で回答が多い情報源が「インターネット検索」なのですが、今回のように訪日外国人が調べているキーワードをGoogleなどの検索エンジンで調べてみて、上位表示されているサイトを参照してみるとどのような情報を訪日外国人がよく見ているのか推測しやすいでしょう。インバウンド向けのサイト運営者にとっては有益な情報サイトをいかに上位表示させるのか、海外SEOの観点から考えることが重要です。

補足:SEOとは、Search Engine Optimisation の略。日本語では、検索エンジン最適化と訳される。

姫路城で無料ガイドツアーに参加、ボランティアガイドがチップを受け取らないことにビックリ!

Marvinさん夫婦が姫路城に到着すると、チケットブースの近くに無料ガイドの看板を発見し、ボランティアガイドによるツアーに参加しました。白鷺城として知られる姫路城の美しさを見るだけでなく、敵から身を守るためのお城の細かい仕掛けなどを「ARで姫路城大発見」というアプリの映像を用いて解説してくれたので姫路城について深く知ることができたと大満足でした。夫婦2名に対して1名のボランティアガイドが付き添い、無料で説明してくださるのは忍びないと感じ、2時間ほどのガイドツアーの後にチップを払おうとすると、そのガイドはチップの受け取りを断り、恥ずかしげにその場を去ったことにMarvinさん夫婦は驚いたようでした。

Himeji_Castle_Resized姫路城の前で写真を撮ったMarvinさん(右)とEdelweissさん(左)

今回の旅行のきっかけになった京都、5泊してゆっくり散策

500年以上続く歴史ある店でそば好きになった忘れられない「体験」

値段が高かったが驚くほど美味しかったとMarvinさんが絶賛だったのが、応仁の乱より2年早い1465年から続く京都にあるそばの老舗、本家尾張屋でした。ざるそば, かけそば, 天ぷら, 天丼 は「過食症」( “binge eating” )になるほど食べたとMarvinさんが冗談交じりで語り、特にそば好きではなかったMarvinさんにとって驚くほどそばを美味しかったようで、500年以上の歴史がある老舗で食べることができたと大満足でした。この店はインターネットで知り、英語のホームページや口コミがきっかけで来店したそうです。

大満足の海外のお客様の裏側に、海外経験が豊富な現当主の家業継承に対する葛藤と苦悩

毎日新聞によると、尾張屋16代目の当主、稲岡亜里子さんは17歳の時にアメリカ・サンディエゴの高校に留学し以来、ニューヨークやアイスランドで写真家のキャリアを歩まれた経歴があるそうです。「いくら遠くに離れても京都があるって。(アイスランドで見た)水や岩や苔が、京都の寺院で見た風景の記憶にリンクした」と、2009年に京都に戻り、家業を継ぐ覚悟を決めたようです。稲岡亜里子さんは家業を継ぐことの大変さについて、「老舗は守りのイメージが強いですが、先祖はそれぞれの時代で、一早く新しいものを取り入れてきました。そうしないと店は残っていきません」と振り返りました。そんな稲岡亜里子さんが、社長として、まず取り組んだのが日本語と英語のウェブサイトを作り、メニューだけでなく、店の歴史や京都のそば文化の説明を加えたそうです。海外での経験が豊富な稲岡亜里子さんが培ったのは言語能力だけでなく、海外のお客様目線での情報発信やPR、そして歴史を感じさせる店内での「おもてなし」も定評で、Marvinさん夫婦が京都で印象深かった食事として覚えている裏側には現当主・稲岡亜里子さんのこうした戦略や家業に対する思いが海外のお客様にも伝わったからではないでしょうか。

honke owariyaMarvinさん夫婦が本家尾張屋で実際に食べた ざるそば, かけそば, 天ぷら, 天丼

伏見稲荷と嵐山、観光地化され過ぎていても正直に楽しかった

京都では清水寺や金閣寺などの寺院巡りを主に行い、Marvinさん夫婦は伏見稲荷の鳥居と嵐山の竹林が特に気に入ったと振り返りました。伏見稲荷の鳥居と嵐山の竹林は入場料がかからないためか、お手頃に楽しめるのもこれらの観光地の満足度が高い結果になったとも考えられます。伏見稲荷について、外国人観光客が多く、とても観光地化されている( “Very touristy” )と感じたとMarvinさんは振り返ったものの、この場所は大好きだ( “We love this place!” )と大満足でした。「旅慣れている」トラベラーは大衆向けの観光地を好まない天邪鬼的な印象があるかもしれませんが、Marvinさん夫婦は観光地化をネガティブに捉えつつも、正直に楽しかったと答えていました。そして、Edelweissさんは京都は木を素材とする家屋が多い中、保存状態の良さに驚いていました。外国人観光客も多いのに、ゴミが少なく、シンガポールよりも綺麗だったと京都に対して好印象でした。

京都に精通した外国人ガイドのウォーキングツアーに参加、芸者と舞妓について深く理解

言語の壁だけでなく、観光客として京都を訪れただけでは文化を深く理解できないと感じ、京都滞在中にMarvinさんはTripadvisorで「観光」の「ツアーやチケット」を調べ、祇園を散策する少人数の「無料」ウォーキング・ツアーを見つけ参加したとのことでした。ガイドは在日経験が10年以上の欧米系の方で、アメリカ映画「 Memoirs of a Geisha 」(邦題:芸者の回顧録)からのシーンの話を交えながら、芸者と舞妓の話を外国人目線で分かりやすく解説してくれたと大絶賛でした。京都に精通したガイドが観光地やレストランのおすすめを教えてくれたのも旅程を立てるのに役に立ったとのことでした。姫路でのボランティアガイドとは違い、ガイドが欧米人だったからか、Marvinさんがチップを手渡すと不自然なリアクションはなかったようでした。

「無料」ウォーキングツアーがヨーロッパで流行る、チップで成り立つ数時間のグループツアー

実はウォーキングツアーに参加したのは日本だけではなく、日本に訪れる前に旅行に行ったイギリス・ロンドンでも「無料」ウォーキングツアーに参加したMarvinさん夫婦は教えてくださいました。ロンドンの中でも興味のある地区をガイドと共に15名ほどのグループで一緒に回り、現地の目線で深く現地の歴史や生活ぶりを理解できたと絶賛でした。実際は、「無料」ではなく、ガイドがチップを参加者から募っており、ガイドに支払う額は観光客が決められるというものだったそうです。

入場料が高く手軽に行けない観光地に関してはYouTubeなどの動画で理解

ガイドで教えてもらえない場所に関しては旅の休憩時間を利用し、Marvinさん夫婦はYouTubeで下調べする時もあるそうです。一例として挙げたのが、イギリス・ロンドンの「 Tower of London 」(ロンドン塔)に行った時に、入場料が1人あたり28英ポンド(約4,000円)と高く、塔の外観をバックに記念撮影し、YouTubeでロンドン塔についてのドキュメンタリーを観て、建築物についての歴史を理解したそうです。観光地を手軽な値段で楽しむ工夫をしているところから「旅慣れている」といった印象を感じさせます。

ギオンコーナーで日本の伝統芸能を鑑賞、ウォーキングツアーでの基礎知識が役立つ

ウォーキングツアーで芸者や舞妓の基礎知識を得たMarvinさん夫婦はギオンコーナーで 京舞, 華道, 茶道, 琴, 雅楽, 狂言, 文楽 の7つの伝統芸能を鑑賞されました。公演時間は1時間ほどだが、通常価格では3,150円のショーが2,500円で楽しめたと訪日外国人向けの割引も奉公したようでした。

16826124_10155253958042214_372466154960138090_oギオンコーナーで舞妓さんと一緒に写真を撮ったMarvinさん(左)とEdelweissさん(右)

大阪で最も満足度が高かった場所は、Tripadvisorのランク圏外だった!

ロッカーに預けたはずの荷物が無い、通訳アプリを駆使し「できる方法」で問題解決

Marvinさんは京都から大阪に着くと、ホテルのチェックインまで難波駅のロッカーで荷物を預けることにし、その周辺を散策したそうです。Marvinさんは日本の駅にロッカーがあるのはとても便利で旅行者にとってありがたいと語りながらも、施錠したロッカーとは異なるロッカーに荷物を入れてしまうトラブルもあったそうです。Marvinさんがロッカーに戻ると荷物がなく、駅員に英語でこのことについて話しかけると、「英語が話せる」と呼ばれたスタッフが来たのですが、それでもうまく意思疎通が図れず、少々困ったと振り返りました。ただ、Marvinさんは54言語を100言語以上に翻訳できる無料アプリ、「Speak & Translate」を使って、英語でスマートフォンに話かけた内容の日本語訳をスタッフに見せると、保管されていた荷物を無事に引き取ることができたとのことでした。この出来事を振り返り、「日本以外の国だったら見つからなかったかもしれない」とMarvinさんは安堵な様子でした。

1時間ほどで簡単に回れ分かりやすいと評価がよかった「インスタントラーメン発明記念館」

今回の取材では帰国前日に密着させていただき、この日はインスタントラーメン発明記念館の見学から始まりました。ここを知ったきっかけは、すでに大阪に行った友達からおすすめだったそうです。Marvinさん夫婦は英語の音声ガイドを付け、インスタントラーメンやカップヌードルの製法や改良の歴史を興味深そうに聞いていました。奥には料金300円の事前予約なしで、好きな具材やスープを選び、自分だけのカップヌードルが作れる体験コーナー、「マイカップヌードルファクトリー」があります。その日は、すでに長蛇の列だったため、Marvinさん夫婦はこのカップヌードル作り体験をせずにその場を後にしました。

Instant Ramen Museumパッケージからインスタントラーメンの変遷が分かる「インスタントラーメントンネル」の前で熱心に音声ガイドを聞くMarvinさん夫婦

ふらっと立ち寄る店は、食品サンプルや写真での分かりやすさが重要

Marvinさん夫婦と難波まで戻り、Marvinさんは「カツ丼が食べたい」と言いながらも、「天丼てんや」の店先での食品サンプルを見て、食欲をそそり、天丼を昼食に食べることにしました。

Tendon「ジャパニーズ・チーズケーキ」がオーストラリアで大人気!

昼食を済ませると、大阪で有名な「ジャパニーズ・チーズケーキ」が食べたいと向かった先は「りくろーおじさんの店」でした。オーストラリアでは、名前の非常によく似た福岡に本店を構える「てつおじさんのチーズケーキ」(英語では、Uncle Tetsu と呼ぶ) が2016年7月にシドニーでオープンし、当時の大繁盛ぶりが話題となったようで、Marvinさんは「ジャパニーズ・チーズケーキ」を知るきっかけになったそうです。どちらの「おじさん」もチーズケーキを売っているのですが、大阪に本店を構える「りくろーおじさんの店」は海外進出しておらず、関西でしか味わえない希少性も訪日外国人を魅了する理由かもしれません。

オーストラリアでは「ジャパニーズ・チーズケーキ」の値段が日本の2倍以上もする!

Marvinさんによると、西洋風のチーズケーキよりも濃厚でどっしリとしてるのに対して、「ジャパニーズ・チーズケーキ」は柔らかく甘すぎず、卵の味が強く残り、そしてケーキを温かい状態で食べることの意外さもあったそうです。オーストラリアでは18豪ドル(約1,500円)するホールケーキが「りくろーおじさん」では685円と安く味わえるとMarvinさんは喜びの様子で、他にも店内の従業員がテキパキと働く姿をMarvinさんが写真を撮り、ケーキが焼きあがるごとに鳴るベルや最後にりくろーおじさんのマークを焼き印をつける作業など、店内の活気ぶりに興味深々でした。

この後、明日は帰国なのでホテルでゆっくりし、早朝に大阪でもう一カ所行きたい場所があるのと言い残し、Marvinさんはホテルへと帰って行きました。

Rikuro_Ojisan_StoreFront「りくろーおじさんの店」の店先で並んで待つ国内外からのお客さん

Rikuro_Ojisan「りくろーおじさんの店」で一休みしながらこれまでの旅行の一部始終を語るMarvinさん夫婦

大阪の満足度ナンバーワンとして、「大阪市中央卸売市場」、2番目は「道頓堀」

後日、Marvinさんの帰国後にインタビューを再度行い、最終日には「大阪市中央卸売市場」に行ったとMarvinさんは答えました。東京だったら築地市場が有名だが、大阪で同等の場所をインターネットで探し、「大阪市中央卸売市場」を見つけ、早朝に行われるマグロのセリを見にいくことに決めたそうです。そして、実際に拝見したというこの記事に書かれている「ゑんどう寿司」で朝食をとり、空港に向かったようです。Marvinさんは大阪での旅程を振り返り、「大阪市中央卸売市場」でのマグロのセリのスピード感と威勢の良さが最も記憶に残っている思い出として挙げ、2番目は「道頓堀」で独特の外観を持つ建物が並ぶネオン街は面白かったと回答しました。Marvinさんが満足した大阪の観光地はTripadvisorによると、「大阪市中央卸売市場」は観光ランキングの圏外で、「道頓堀」は第1位という面白い結果になっており、観光地が定番であるかどうかは個々の旅行者の満足度に必ずしも繋がるわけではないことが分かりました。

osaka_central_fish_marketMarvinさんが実際に撮影した「大阪中央卸売市場」でのマグロのセリの様子

Endo_Sushi「セリを見た後の寿司は格別、これは今から食べる寿司のほんの一部に過ぎないよ〜」とのコメントと共にMarvinさんがFacebookに載せた写真

次の旅行先は、ジブリ美術館がある「東京」かビーチが綺麗な「沖縄」

ゴールデンルートは時間的に余裕がないと思ったので、今回は大阪と京都のみ

大阪での密着取材でMarvinさんに日本で次に行きたい旅行先を聞くと、ジブリが好きなので次は東京か、夏だったらビーチが綺麗な沖縄を考えると答えました。今回の旅では、7泊8日で東京から大阪まで巡るゴールデンルートも考えたそうですが、時間的な余裕がなくなるとのことで、今回は当初の旅程で大阪と京都のみを選んだとのことでした。

「沖縄」は東南アジアやオーストラリアのビーチにはない魅力があると、Marvinさんは感じている

東南アジアには有数のビーチリゾートがあるのに、敢えてなぜ沖縄なのか私が聞くと、タイのピピ島などのように東南アジアのビーチリゾートは昔に行った時は綺麗でも数年後に戻ってみると汚くなっていることがよくある一方、「沖縄」はとても綺麗に保たれているイメージがあるとのことでした。そして、Marvinさんが住むオーストラリアのビーチは水温が寒いので、「沖縄」の水温が温かい時期に行きたいと言っていました。

次の旅行先は「東京」、旅程作成の準備期間を長めにとり、航空券が安くなった時期に買っておく

2017年5月25日時点でのインタビューでは、すでにMarvinさん夫婦が約半年後の11月に東京に行くことが決まっていました。「東京」に行くことを選んだ理由として、航空券を格安で購入できたからだったそうです。今回の旅行も、Marvinさんは2016年7月時点には2017年2月頃に大阪に行くことが決まっており、ゆっくりと旅程を決めることで航空券やホテルが安い時期に予約できて旅費を抑えられるメリットがあると語っていました。

東京で行きたい場所「泉岳寺」、赤穂浪人の復讐を描いたSF映画「 47 Ronin 」に感化された

大阪で密着取材をした時点では、東京だったら三鷹の森ジブリ美術館や築地市場に行ってみたいとMarvinさんは話していました。ただ、後のインタビューでは、東京で行きたい場所として「泉岳寺」もMarvinさんは挙げていました。Marvinさんが「泉岳寺」に行きたいと思ったきっかけになったのはアメリカSF映画「 47 Ronin 」でした。この映画は、播磨赤穂藩藩主の浅野長矩が切腹に処された赤穂事件で浪人になった四十七士が自身の切腹を覚悟し、浅野の復讐のために吉良邸に討ち入った出来事が題材になっています。四十七士の墓地がある「泉岳寺」では日本の侍文化を知ることができる展示物やショートムービーなどがあると口コミで見て、Marvinさんの興味をそそったようでした。

Studio_Ghibli京都のとあるデパートでジブリキャラクター、「となりのトトロ」を見つけ一緒に写真を撮るMarvinさん

今回の調査を終えての調査員の感想

「旅慣れている」と感じた理由とは

今回の同行調査を通じて私が驚いたことはMarvinさん夫婦の「旅慣れ」でした。旅行の準備期間が半年と長く、少しずつ旅程を立てることに楽しんでいる様子でした。準備期間が長いことで飛行機やホテルも埋まらないうちに安く抑えることもできます。ただ、当初立てた旅程を状況によって臨機応変に変え、日本到着が早まったので「姫路城」に行くことにした柔軟さもありました。そして、Marvinさん夫婦が旅行の楽しみにしているという食事にはより多く出費するなど、旅行中でのお金の使い方にメリハリをつけていました。そんなところが「旅慣れている」と感じさせます。

消費者にとって、コト消費の価値判断がモノ消費よりも難しい

Marvinさん夫婦は日本の歴史や文化について知識意欲は高かったのですが、Marvinさん夫婦の知識意欲を満たす体験型観光はギオンコーナーでの日本伝統芸能の鑑賞と「無料」ウォーキングツアーまでに留まりました。モノ消費に関しては実際に触れて価値を判断することができるのに対して、コト消費は体験にお金を払うので事前に価値を把握するのは難しい特徴があるからだと考えれらます。ヨーロッパで流行っているウォーキングツアーでは、参加者は「無料」でツアーに入れるため、時間さえ合えば誰でも参加できて集客しやすく、参加者が適正だと感じた対価をツアーを体験した後にチップとして払うことができます。

体験提供者はプラン内容の精査とブランド価値の向上が重要

「日本での体験プランは値段が高い」というフィードバックが最も多く、まずは訪日外国人が楽しめる内容を分析し、適正な価格帯で提供する必要があるかもしれません。そして、提供価格を上げるには、口コミを増やしたり、海外の方の興味をそそるようにPRすることで、訪日外国人にブランド価値を認識させる必要ではないでしょうか。

情報発信は重要だが、「量」だけでなく、「質」も重要

Marvinさんとのインタビューで情報収集は「インターネット検索」で行っており、特に特定のサイトを利用したわけではありませんでいた。Googleでキーワードを検索し、気になったページから旅程を立てているようでした。そのため、まずは訪日外国人が検索しそうなキーワードを知ること、そして訪日外国人が読み応えのある優良な情報を載せることで検索エンジンで上位表示させる施策が重要になってきます。Marvinさんが偶然発見したという京都のそば屋「本家尾張屋」の英語サイトも偶然ではなく、サイト運営者による意図的な海外向けPR戦略があったからではないでしょうか。

国別での傾向把握の難しさ、五感で理解する同行調査は調査対象者を深く理解できる

インバウンドの調査会社は国籍別で調査結果に対して傾向を出すことがほとんどなのですが、現場で訪日外国人に触れる調査員はMarvinさん夫婦のように「フィリピン」国籍でありながら「シンガポール」と「オーストラリア」での勤務経験が長い方に会ったりと、国籍では中々説明するのが難しい事象もあります。実際に、旅行現場を同行することによって五感を通じて理解することで調査対象者について意図しないシナリオになっても柔軟に対応することができます。

以上、訪日客同行調査及びインタビュー調査の内容をお送りしました。

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