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【宿泊シリーズ】インバウンドで賑わう大阪のゲストハウス「 Funtoco Backpackers Namba 」のオーナーに、ゲストハウスの特徴について聞いてみた。

宿泊シリーズ第2回の今回は、前回特集したインバウンド特化型ホテル「 FP HOTELS 難波南 」から徒歩12分と近くでゲストハウス、「 Funtoco Backpackers Namba 」を運営する西沢 翔太郎さんとのインタビュー内容をお送りします。

訪日外国人の増加を背景に宿泊施設の建設が盛んな大阪のミナミエリアに焦点を当て、宿泊形態別で外国人宿泊者の傾向を解説します。

果たして、宿泊形態別で外国人観光客が求めるニーズはどのような違いがあるのでしょうか?

大阪ミナミのホテル客室数は30%増加の見通し、簡易宿泊所の開業も相次ぐ

不動産サービス大手のCBREが2016年9月に発表した調査によると、大阪市内にあるホテルの客室数が2018年末頃までに約49,750室(2016年3月末時点)から約15%増の約57,500室に増加すると予想されており、最も客室が増えるのが関西国際空港からのアクセスの良さと観光地から近い心斎橋・難波地区で約30%増の約12,000客室に達すると見込まれています。そして、厚生労働省の衛生行政報告例によると、大阪市内のユースホステルやゲストハウスなどの簡易宿泊所は2015年3月末からの1年間で施設数が117から32%増の155まで達しており、今後のさらなる宿泊マーケットの拡大が期待されております。

統計から分かる、インバウンドが利用する宿泊形態の傾向

外国人宿泊客のホテル離れが加速、宿泊形態は多様化へ

大阪府に訪れる外国人が旅中で一度でもホテルを利用した確率は74.3%と宿泊形態として最も利用率が高いものの、ホテルでの平均宿泊日数は2.7日とゲストハウスや民泊に比べて宿泊期間は短い傾向があります。さらに、ホテルの利用率は前年比で8.3%の減少で、ゲストハウスと民泊の利用率は前年比でそれぞれ5.7%と4.4%の増加でした。平均宿泊日数は長い順に 民泊, ゲストハウス, ホテル でした。ゲストハウスと民泊はホテルに比べて宿泊マーケットにおける市場シェアは依然として低いものの、高い成長率を維持しており、今後のホテル需要にどのような影響を及ぼすのか、注視する必要がありそうです。 Accommodation Stats 1 (New)補足:外国人宿泊客による大阪のホテル利用率と平均宿泊日数はJNTOが発表した2016年の「訪日外国人消費動向調査」の「全目的」を参照。宿泊形態の「その他」には ホテル, 旅館, 別荘, 会社所有の宿泊施設, 知人宅, ユースホステル・ゲストハウス を含まないため、民泊を含むと仮定。

ホテルの利用率は中華系が高く、ゲストハウスと民泊は欧米系が高い

外国人宿泊客の中では 中国, 台湾, 香港 からの観光客のホテル利用率が最も高く、韓国は東アジアの中でも最もホテル利用率が低い国でした。その理由として、中華圏から日本に訪れる旅行者は30代の家族連れが多いのに対して、韓国人観光客は20代で友人と共に訪日する傾向があるからだと考えられます。ゲストハウスの利用率は韓国が21%とアジアの中では最も高い水準でした。

一方、東南アジアの中で日本に家族連れで訪れる旅行者はタイとフィリピンが最も多く、タイ人観光客のホテル利用率が85.1%と東南アジアで最も高いのに対して、フィリピン人観光客のホテル利用率は65%と最も低く、対照的な結果でした。その理由として、フィリピン人観光客は親族・知人宅に泊まる割合が16%とJNTOの調査対象国の中で最も高く、旅の目的に親族や友人を訪問する傾向があると考えられます。

そして、日本に訪れる欧米系の旅行者はアジアの旅行者に比べて、家族旅行よりも1人旅やパートナーや夫婦のみの旅行が多く、ゲストハウスや民泊の利用率は高い傾向がありました。さらに、アメリカやヨーロッパは日本からの物理的な距離が遠く、日本での滞在期間が長いため、一泊あたりの宿泊費を抑える傾向があるとも考えられます。ただ、旅館の利用率は欧州が23%〜42%と高く、宿泊に対してメリハリのあるお金の使い方をしている傾向がありました。 Accommodation Stats 2 (New)補足:JNTOが発表した2016年の「訪日外国人消費動向調査」の「観光・レジャー目的」を参照。

南海難波駅から南に徒歩8分にあるゲストハウス「 Funtoco Backpackers Namba 」を運営する西沢夫妻

Funtoco Backpackers Namba を運営する西沢夫妻はFREEPLUSの元社員として海外営業を担当。夫婦ともに海外での留学経験があり、東南アジアでのバックパッカー旅行も経験。築55年の木造加工工場をDIYで自ら少しずつ改装し、2016年12月にゲストハウスとしてオープン。「Funtoco」は英語のFunと日本語の 処, 床 をかけ合わせた造語で、楽しいことを日本から世界へ、そして世界から日本へ届けていきたいという西沢夫妻の思いから名付けた。南海難波駅から南に徒歩8分、徒歩圏内に違う線路の5つの駅があり、公共交通機関での移動も便利。 SONY DSCFuntoco Backpackers Namba を運営する西沢夫妻(フロントデスクにて)

質問項目

  • Q1. どのような経緯でゲストハウスの運営を始めたのですか?
  • Q2. 民泊やホテルと比べて、ゲストハウスはどのような位置付けなのですか?
  • Q3. Funtoco Backpackers Namba のサービス面でのこだわりは何ですか?
  • Q4. Funtoco Backpackers Namba に宿泊するお客様はどのような客層ですか?
  • Q5. 外国人宿泊客はどのような旅程で観光をするのですか?
  • Q6. ゲストハウスの運営で最も不安に感じることは何ですか?
  • Q7. お客様からどのような口コミがありましたか?

Q1. どのような経緯でゲストハウスの運営を始めたのですか?

FREEPLUSで海外の旅行会社に日本のツアーを販売する営業の仕事を通じて得たインバウンド業界での知識と経験に加えて、オーストラリアで1年間のワーキングホリデーや東南アジアでバックパッカーとして旅行したこともあり、今まで経験した「インバウンド」と「バックパッカー」のフィールドで挑戦できる事業としてゲストハウス運営を始めました。

Q2. 民泊やホテルと比べて、ゲストハウスはどのような位置付けなのですか?

日本における民泊はホテルとさほど変わらないと思います。民泊はホテルに比べて安く泊まれて、キッチンが付き、バスルームが広いことが旅行者にとってメリットだと感じます。ただ、日本の都市部における民泊では、ゲストが部屋の鍵をホストから伝えられたパスワードをもとにメールボックスから受け取ることが一般的で、チェックインがほぼ無人化状態になっているのが現状です。ホテルのようなレセプションがないため、チェックインに対して若干の不安があるかと思います。

それに対して、ゲストハウスの魅力はゲスト同士やホストとの触れ合いの場を提供できる点で民泊とホテルとは違います。Funtoco Backpackers Namba では、ホテルや民泊で寂しいと感じる少人数の旅行者をターゲットにしています。実際に宿泊するお客様は1人もしくは2人の旅行者が多く、他の人との触れ合いを求める傾向があると感じます。

Q3. Funtoco Backpackers Namba のサービス面でのこだわりは何ですか?

バックパッカー時代に感じたこととして、現地の人や旅行者同士との触れ合いが旅の醍醐味だと思うのですが、語学力に対して不安を持った旅行者がそのような触れ合いをあまり体験できていないと感じました。そこで、Funtoco Backpackers Namba では、月2回ほど行うたこ焼きパーティーなどのイベントやゲストハウス内にバーを備えることで、ゲストが自然に話せるきっかけを作る工夫をしています。

他にも宿泊場所として、快適さを重視して部屋を設計しました。ベッドフレームは特注でベッドが軋まない仕様になっています。荷物はベッドの下に内蔵したロッカーに収納することができ、スペースを有効活用できるように工夫しました。バックパッカーの目線であったらうれしいと思う工夫を施しました。

Takoyakiゲスト同士の交流を目的としたたこ焼きパーティー

Q4. Funtoco Backpackers Namba に宿泊するお客様はどのような客層ですか?

Funtoco Backpackers Namba に宿泊するお客様の外国人比率は90%で、特に欧米からの旅行者に人気です。具体的には、オーストラリア, アメリカ, カナダ, イギリス, オランダ, ドイツ, スウェーデン からの国々からの旅行者が多く、次いで東アジアの 中国, 台湾, 韓国 の旅行者が多く宿泊されます。東南アジアからの宿泊者は比較的に少ないのですが、シンガポールとマレーシアは多い傾向があります。旅行目的で海外からお越しになる方だけでなく、英語教師として日本に在住する方が小旅行として宿泊される場合もよくあります。

Q5. 外国人宿泊客はどのような旅程で観光をするのですか?

欧米からの旅行者は日本を2週間以上滞在する人が多く、ゴールデンルートに 日光, 高野山, 広島 を加えた旅程が定番だと感じます。関西での旅程は、阪神タイガースの試合の観戦をしたり、相撲の時期は朝5時からチケットを取りに行ったり、高野山での宿坊体験や熊野古道でのハイキングをしたり、ミシュランレストランで1名あたり3万円の料理を召し上がられたりと、人によって旅程はかなり違います。東アジアからの旅行者は日本に2泊から1週間くらい滞在する方が多く、関西のみの旅程がほとんどです。旅行中の買い物は東アジアの旅行者からが多いのに対して、欧米の旅行者からは少ない傾向を感じています。

Q6. ゲストハウスの運営で最も不安に感じることは何ですか?

難波の南側にはゲストハウスの開業や建設が相次いでおり、競合のゲストハウスが増え、価格競争が激しくなっていくと思います。天王寺に近いエリアでは、POLY HOSTEL OSAKA(2016年8月オープン)や HOME HOSTEL OSAKA(2017年4月オープン)など、インバウンドを意識したホステルが相次いで参入してきています。

そして、インバウンドが多い4月は繁忙期ですが、5月は閑散期になるため、季節変動性を平準化する必要があります。そして、客室タイプで需要にばらつきがあり、全般的にドミトリーよりも個室の方が人気で、ドミトリーに宿泊する方は欧米からの少人数の若い旅行者が多い傾向があります。7人で1部屋を貸し切るなど、ドミトリーならではの宿泊パターンも稀にあります。最近では、ドミトリーへの理解は韓国人観光客にも進んでおり、今後の宿泊パターンの嗜好変化で客室タイプの需要は変わっていくことも考えられます。

Domitory Room特注のベッドの下にはロッカーが備わっているドミトリールーム(1泊2,700円〜) Double Roomプライバシーが気になる方はダブルとツインの個室も完備(1泊6,000円〜)

Q7. お客様からどのような口コミがありましたか?

宿泊された海外のお客様からは「家みたい」,「フレンドリー」,「接客が丁寧」などのフィードバックが多く、サービスのソフト面を特に高く評価してくださっています。そして、ゲストハウスでは気になりがちの他の宿泊者からの雑音ですが、20人〜30人の中規模のゲストハウスなためか、「うるさくなく、ぐっすりと眠れた」とお客様は仰ってくださっています。

ブッキングドットコムとアゴダによる Funtoco Backpackers Namba の口コミ評価(2017年6月23日時点) Funtoco Backpackers Namba Reviews外国人観光客からの口コミ例:

  • オーナー夫妻や他のゲストとも話す機会があり、とても特別な時間が過ごせました。バーでの飲み物はとてもお手頃な価格で、周辺の観光地やレストランのおすすめも教えてくれました。ベッドも広めで、プライバシーもあり、リラックスできました。(イギリス人男性)
  • オーナー夫妻が運営する小さなコミュニティー感のあるゲストハウス。ナイトライフ, レストラン, マーケット で賑わうエリアです。オーナー夫妻はとても親切で社交的。ゲストハウスのレイアウトが他の人とも自然と会うことができる工夫がされています。日本での旅行の中で最も思い出深い場所でした。(オーストラリア人男性)
  • 今までで最も歓迎を受けたゲストハウスでした。到着日にオーナー夫妻がパーティーを開いてくださり、他のゲストと食事を交え、一緒に話すことができました。とてもいい思い出でした。難波駅から5分ほどでとても近い距離にあります。(スペイン人男性)
  • とても綺麗でした。共同のキッチンとリビングも大きく、便利でした。オーナーはとても元気がいい方でした。(中国人男性)
  • ベッドは寝心地がよく、バスルームは綺麗でした。(台湾人女性)
  • 寝心地がよく、快適でした。難波まで徒歩で10分。オーナー夫妻はとても親切で、バーでの会話が楽しかったです。お値打ち感があります。海外からの他のゲストとも会えて、一緒に食べたり飲んだりできました。(韓国人男性)
  • ドミトリーのベッドにはカーテンで仕切られており、プライバシーがありました。ベッドの下のロッカーも役立ちました。(シンガポール人男性)

以上、Funtoco Backpackers Namba を運営する西沢 翔太郎さんとのインタビューをお届けしました。

宿泊シリーズの第1回と第2回は、インバウンドの宿泊需要で賑わう大阪のホテルとゲストハウスの運営側へのインタビューや訪日外国人消費動向調査の統計結果から宿泊形態別に宿泊マーケットについて解説しました。次回の第3回は、楽天とLIFULLが参入を発表したことで話題になった民泊事業に注目し、すでに民泊を経営するオーナーにインタビューをしました。

本メディア「 INBOUND RESEARCH .jp 」では、旅行現場での生の声をもとに作成した自主調査記事を隔週配信いたします。インバウンドのリサーチやプロモーションに関する質問等ございましたら、以下のお問い合わせフォームより気軽にご連絡いただけますと幸いです。今後ともご覧くださいませ!

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