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【外食シリーズ】訪日団体観光客向け飲食店即時予約サービス「JAPARES」の裏側に迫る、インバウンド対応に苦戦する飲食店業界の課題とは。

当社は海外の旅行会社に訪日ツアーを販売するランドオペレーターとして飲食店手配も行なっており、2016年3月1日より訪日団体観光客向け飲食店即時予約プラットフォーム「JAPARES(ジャパレス)」を運営しております。インバウンドに対する飲食店手配は文化や信仰上の理由で国ごとで異なる食事のニーズに対応する必要があり、ランドオペレーター事業において難しい分野でもあります。

そこで今回は、今後も増え続けるインバウンドへの対応に迫られる外食業界の特集シリーズをお届けします。第一回の今回は、当社がJAPARESを始めた経緯から日本の飲食業界におけるインバウンド対応の課題までJAPARESの責任者、増田 篤紀にインタビューを行いました。

果たして、インバウンドは日本の飲食業界に何を求めているのでしょうか?

訪日団体観光客に特化した飲食店即時予約システム「JAPARES」とは

日本を訪れる世界中の人に、美味しい日本の「食」で幸せを提供したい。そんな思いで、すでに当社のお客様でもある訪日団体客に特化した飲食店即時予約サービス、「JAPARES」を2016年3月にスタート。海外の旅行会社は 予算, エリア, 食事内容, 時間帯 などの条件で検索ができ、予約は従来の電話やFAXではなく、24時間いつでもWeb上で完結。2017年8月時点、旅行会社の登録数は158社、飲食店の掲載店舗数は493店舗まで伸びた。サービス開始から1年半ほどで、送客人数は9万人以上、流通額は1.7億円以上に達した。 JAPARES2 JAPARES Screenshot2以上、JAPARESのユーザー画面。「カニ食べ放題」, 「ハラール」,「精進料理」など、訪日客の嗜好に合わせた「こだわり検索」が可能。

質問項目

  • Q1. どのような経緯でFREEPLUSはJAPARESを始めたのですか?
  • Q2. 飲食店がJAPARESを利用するメリットは何ですか?
  • Q3. 旅行会社がJAPARESを利用するメリットは何ですか?
  • Q3. 飲食店手配における訪日団体観光客の特徴は何ですか?
  • Q4. 日本の飲食業界におけるインバウンド対応の課題は何ですか?
  • Q5. 競合サイトと比べて、JAPARESは何が違うのですか?
  • Q6.  JAPARES の今後をお聞かせください。

Q1. どのような経緯でFREEPLUSはJAPARESを始めたのですか?

労働集約型事業モデルのランドオペレーターでは業務効率化が今後の成長に不可欠だった

飲食店に対して予約台帳等のサービスを行う会社からインバウンド事業において業務提携のお誘いを頂いたのがJAPARESの始まりです。その当時、ランドオペレーター事業における飲食店手配は電話で空室を確認し、FAXで予約するのが一般的でした。私がタイの旅行会社に訪日旅行の企画販売していた時に、旅行会社とのやりとり、ホテル, バス, 飲食店 の手配、そして支払い対応まで幅広い業務を経験しました。やがて、ツアー本数が多くなるにつれて、1人では手に負えない業務量になり、新たに人を雇う以外に対応する方法はなく、社員1人あたりの生産性は頭打ちの状態でした。

インバウンドに美味しい食事を提供したい飲食店の声がより届きやすくする仕組みが必要だった

そして、40席以上の団体を受け入れ可能な飲食店ですらそう多くはなく、さらにインバウンドの受け入れ意思がある飲食店となると探すのにとても苦労しました。新たな飲食店を開拓するのは容易ではなく、「しゃぶしゃぶはこの店、焼肉はあの店」といった具合に飲食店手配は定番化してきており、お客様の満足度も天井を打った状態でした。お客様へのきめ細かい飲食店手配をするのにも、ランドオペレーターにとってJAPARESのサービスは必要でした。

Q2. 飲食店がJAPARESを利用するメリットは何ですか?

夜8時以降のピーク時間を避けて、「アイドルタイム」に訪日ツアー客の集中送客が可能

飲食店側がJAPARESとの契約を躊躇する大きな理由に「即時予約」があります。発注に気づかなかったり、他の予約と重なるリスクがあったり、予約までにワンクッション入れてほしいというのが飲食店側の反応でした。ただ、そうですと、電話やFAXと変わらず、旅行会社側が予約までに飲食店側の返答を待たねばならず、旅行会社側の利便性が減ってしまいます。そこで、飲食店に知って頂きたいのが、旅行会社がツアー客をレストランに送客する時間帯が飲食店のアイドルタイム(客足が少ない時間帯)であることが多く、夜8時以降のピーク時間と重なりにくい特徴があります。旅行会社は旅程の関係上、バスを夜8時頃までしか利用しない場合が多く、飲食店にツアー客を送客するのが夕方5時〜6時になり、飲食店側の負担が少ない時間でのレストラン利用がほとんどです。他にも、予約席数の上限を設定したり、平日のみの予約受付など、飲食店側の都合に合わせた設定がJAPARESでは可能です。

ランドオペレーターとして培った知見を飲食店にも共有し、訪日ツアー客の満足度向上に繋げる

飲食店側がインバウンドの受け入れ体制を強化するために、ランドオペレーターとして失敗した経験も踏まえ、今まで飲食店手配で培ったノウハウが詰まった資料を飲食店側に提供しています。インバウンドはリピート客に繋がらないと飲食店側の声をお聞きすることもあるのですが、ツアー客の情報をよく知っているガイドが旅行会社に飲食店の感想を報告し、さらなるツアー客の来店に繋がる可能性があります。そして、今では口コミをインターネット上に残しやすくなっており、リピート客が来なくても、ツアー客が残した口コミを元に飲食店を決める訪日外国人も多いと思います。

掲載店舗以上、JAPARESの掲載店舗数(2016年4月〜2017年7月)。2016年8月に業務提携先が営業体制を強化し、旅行会社がJAPARESを通じて予約できる店舗数が増えた。

Q3. 旅行会社がJAPARESを利用するメリットは何ですか?

飲食店手配の効率化に繋がるが、長年染み付いた旅行会社の慣習を変えるのは容易ではない

当社がランドオペレーターとして飲食店手配をJAPARESで行うだけでなく、海外の旅行会社がJAPARESで飲食店の直予約をする場合もあります。当社はすでに旅行会社のネットワークがあるため、JAPARESの利用を促すことはできるのですが、今までの飲食店手配のオペレーションを変えてもらうのにはとても大変なことです。今まで美容院を電話で予約していた方にインターネットで予約してもらうようなものです。ただ、旅行会社が1回でもJAPARESで予約してもらえれば、JAPARESの利便性を理解してもらえるため、リピート率は高いと実感しています。海外の旅行会社から最も多く寄せられるコメントは、料理やレストランの写真があり、飲食店が選びやすい点です。

送客以上、JAPARESの送客人数(2016年4月〜2017年7月)。訪日ツアーが繁忙期の4月は月間最多の17,632人。直近3ヶ月は前年比320%増で推移。

Q3. 飲食店手配における訪日団体観光客の特徴は何ですか?

訪日団体観光客の満足度向上の秘訣は入念な食事の準備と接客スピード

JAPARESが扱う団体人数は平均で27名ほどです。そして、旅程との兼ね合いから、レストランでの滞在時間は短い傾向があります。ただ、集客力と回転率は高いものの、食事量はインバウンドのお客様の方が国内のお客様よりも多い傾向があります。飲食店に目安の食事量を伝える時には、「たくさん」という解釈を含む表現を避け、グラム数で表現するようにしています。しゃぶしゃぶの1人あたりの食事量は通常、200〜300グラムだとすると、インバウンドの場合は1人あたり400グラム以上を召し上がられることも少なくありません。飲食店は短時間に多くのお客様に大量の食事を提供する必要があり、入念な準備だけでなく、手際のよい接客が求められます。接客スピードが遅いと、お客様が満足に食べ終える前にバスの出発時間が来てしまいます。

各国の食文化や宗教の影響で、各国で求められる食事が異なる

そして、インバウンドの大きな特徴として、NG食材が多く存在することです。傾向として、東南アジアは生ものがNG, タイは牛肉NG, インドネシアは豚肉NG, 台湾は精進料理, マレーシアとインドネシのムスリム(イスラム教徒)はハラール, 欧米系はビーガンやグルテンフリーなど、インバウンドの食事は各国の食文化や宗教の影響に左右されます。

JAPARES Customers4以上、体験型の飲食店が大人気。スタッフが串カツの揚げ方をお客様にレクチャーし、テーブルの真ん中のフライヤーで揚げた串カツを召し上がる様子(大阪・新世界)。 JAPARES Customers3以上、たこ焼き作りに挑戦するツアー客の様子(大阪・福島)。

Q5. 競合サイトと比べて、JAPARESは何が違うのですか?

「訪日団体観光客」x「即時予約」では唯一無二の存在

「ぐるなび」や「食べログ」のように、日本国内にレストラン即時予約サイトは多数存在しているが、「訪日団体観光客」x「即時予約」のキーワードでは唯一無二の存在です。訪日団体ツアー向けの飲食店予約における競合サイトは3社ほどありますが、どれもサイトの裏側で人が介入し、予約をFAXで対応したりするようです。人が予約に介入してしまうと、スケール効果が出しづらく、飲食店側への手数料を低く抑えることは難しくなります。そこで、JAPARESは人の介入が必要になりそうな問題を最小限に抑える努力をしています。

送客お断りの主な理由に、「インバウンド」と「団体客」がキーワード

台湾などの旅行会社が飲食店に直予約を入れることもあるのですが、「食べログ」や「ぐるなび」で検索しても、掲載店舗が訪日団体観光客に対応できるのか、直接連絡しないと分からない状態でした。そこで電話してみると、海外の旅行会社は「インバウンド」もしくは「団体客」を理由に送客を断られることも少なくありませんでした。「JAPARES」ではそういった旅行会社の心配は一切不要で、旅行会社の店選びがより簡単になりました。

ランド経由の飲食店手配に海外の旅行会社は安心感を持つ

何と言っても、「JAPARES」はランドペレーターが運営するサービスなので、海外の旅行会社には安心して使って頂いております。旅行会社のあらゆる質問にも親身に対応し、飲食店と連携を取っています。今まで29ヵ国以上の旅行会社への飲食店手配を経験したランドオペレーターとしての実績があり、ツアー中に予想外な出来事が起きた場合にも迅速に対応することが可能です。

営業代行サービスを提供、ランド経由で飲食店の海外営業がしやすくなる

飲食店の観点で考えると、海外営業のノウハウがなかったり、人的リソースがあまりかけられなかったりと、飲食店が海外の固定客を獲得するのはとても大変なことです。そこで、当社は営業代行のサービスも提供しております。飲食店の方がゼロベースで海外の旅行会社を開拓される場合よりも、旅行会社とやり取りをしているランドオペレーターを通すことで海外の旅行会社にアプローチしやすくなります。

Q4. 日本の飲食業界におけるインバウンド対応の課題は何ですか?

飲食店の職人気質とインバウンドへの柔軟な接客は相反する

インバウンドと一言で言っても、国ごとの食文化は異なり、多種多様なお客様の要望に柔軟に対応する姿勢が求められます。豚の仕入れ先にこだわっている飲食店に送客したお客様の中に豚がNGな人も含まれていたりとか、寿司屋なのにラーメンが食べたいとか、食後にコーヒーが欲しいなど、国内のお客様では考えにくい要望を受ける例もあります。飲食店側は外国人団体客に対して日本風の食べ方をレクチャーするも、外国人団体客が母国から持参した調味料を加えて、慣れ親しんだ味に変えてしまうことも少なくありません。この点は「食」へのこだわりがあり、職人気質が強い傾向にある飲食店にとっては受け入れがたい事実かもしれません。

外国語対応で困ったら、ツアーリーダーが説明してくれる

バイキング形式のレストランの場合、ツアーのお客様が料理に何が含まれているか知りたいという問い合わせがあります。メニューや使用食材の言語表記も必要ですが、何よりも飲食店側の接客スタッフのフレンドリーさが重要です。食事に困っているお客様はツアーリーダーを通して、日本語で接客スタッフに相談することができます。

団体ツアーが遅延した場合を想定して、予約時間に対して臨機応変に対応する飲食店が好まれる

団体ツアーの特徴として、バスの交通渋滞等で時間通りにツアーのお客様が到着しない場合もあります。30分の遅延はよくあることですが、稀に2時間以上の遅延もあります。遅延を考えて予約時間に融通をきかせてくださる飲食店だと、ツアーの遅延に対応することができます。ただ、飲食店が空き時間を入れずに次の予約を入れている場合、旅行会社と連携して、当社が他の飲食店を探し、迅速に予約することで対応しています。

Q6. JAPARES の今後をお聞かせください。

訪日団体ツアーの食事予約といえば、「JAPARES」という存在になりたい

具体的なアクションとして、今後はJAPARESのユーザビリティー(使いやすさ)を改善して、旅行会社と飲食店の双方が今まで以上に使いたいと思えるようなサイトを構築していきたいです。そこで、ユーザーにとって使いづらい機能を知るために、ユーザーアンケートを実施しました。今後はそのアンケートで挙げられた改善点に対してアクションをしていく予定です。

以上、JAPARESの責任者、増田 篤紀とのインタビューをお届けしました。

以上、JAPARESは責任者の増田(写真の中央)、旅行会社と飲食店に営業と顧客サポートを行う角屋と中国出身の韓(写真の左と右)の3名体制。

本メディア「 INBOUND RESEARCH .jp 」では、旅行現場での生の声をもとに作成した自主調査記事を隔週配信いたします。インバウンドのリサーチやプロモーションに関する質問等ございましたら、以下のお問い合わせフォームより気軽にご連絡いただけますと幸いです。今後ともご覧くださいませ!

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