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【アニメ・映画ランキング】外国人観光客100人に聞いた、日本を連想するエンタメと訪れたい聖地巡礼スポットとは。

今回は、外国人観光客の訪日意欲を促進する娯楽・エンタテインメントはどんな作品なのかを突き止めるため、外国人観光客100人に「日本」を連想するアニメや映画などのコンテンツについて聞きました。

例えば、鏡張りの映像がユニクロのCMで使われたボリビア・ウユニ塩湖やソフトバンクのCMで元SMAPのメンバーが空中庭園を歩く映像が撮影されたシンガポール・マリーナベイサンズは日本人の海外旅行意欲を促進したと言われています。一方で、日本に訪れる外国人観光客が同様に旅前で観ている娯楽・エンタテイメントが日本の特定の場所に訪れているのか、実態を把握するためにアンケート調査を行いました。

訪日外国人消費動向調査の「今回したこと」(全目的・2016年)において、「映画・アニメ縁の地を訪問」を回答した訪日外国人は4.8%と、決して大きな数値ではないものの、欧米豪が高い傾向にあり、最も高かった国はフランスの13.3%、次いでスペインの11.9%でした。作品の舞台となった地域に訪問する外国人観光客が確実に存在することが分かりました。

成功事例として、中国映画「非誠勿擾」(放題「狙った恋の落とし方」2008年)は北海道、タイ映画「タイムライン」(2014年)は佐賀県、世界的な大ヒットになった日本映画「君の名は。」(2016年)は岐阜県に外国人観光客がロケ地巡りに訪れた事例があります。今後も国交50周年を記念した日本・シンガポール合作映画「ラーメンテー」が2018年春に公開予定になるなど、娯楽・エンタテイメントが及ぼす外国人観光客に対する訪日旅行の訴求力に期待が集まっています。

果たして、外国人観光客はどのような日本に関するエンタテイメント作品を旅前に観ているのでしょうか?

調査前提

  • 時期:2017年10月25日
  • 人数:100人(大阪・難波)

調査項目

  • Q1. 「日本」を連想するエンタテイメント作品は何ですか?(最大3作まで)
  • Q2. 「日本」にまつわるエンタテイメント作品を視聴して、実際に日本で行った場所もしくは今後行きたい場所はありますか?

調査データ

出身国

年代比

男女比2

訪日回数

Q1. 「日本」を連想するエンタテイメント作品は何ですか?(最大3作まで)

エンタメ1外国人観光客が「日本」を連想させるエンタテイメント作品のジャンルはアニメ・マンガが75%以上の大多数でした。アニメ作品以外の実写映画が次に高いものの、シェアは9%程度と少なく、ドラマのタイトルはアジア人旅行者の極限られた人にしか連想できないようでした。

アニメ・マンガの認知度ランキング

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堂々の第1位に輝いた「ワンピース」は国籍に関わらず多くの国や地域で知られていることが分かりました。日本のアニメやビデオゲームに関する英字ニュースメディア「Akiba Press」によると、「ワンピース」が世界的に大人気になった要因として、多様な個性を持ったキャラクターが登場し、分かりやすいプロットであるが、ストーリー・アーク(シリーズ内の一連のストーリー)が単独で完結し淡々と進むのではなく、以前に出てきた謎が説かれていくようなミステリアスでストーリーに深みがあることが評価がされていました。また、ストーリーの全体的なトーンが楽観的であり、メインで登場するキャラクターの温かみのある性格がコアなアニメファンだけでなく、国籍・男女・年齢に関わらず、幅広く共感を得ているとのことでした。

第2位以下の作品はアジア人旅行者と欧米人旅行者が親しんでいる日本のアニメが大きく異なっていました。

アジア人旅行者は「ドラえもん」「君の名は。」「名探偵コナン」「スラムダンク」「ちびまる子ちゃん」「クレヨンしんちゃん」の回答が多く、回答者の8人中6人が中国出身だった「スラムダンク」は元NBA選手のヤオ・ミンの活躍でバスケットボールが大人気になった中国の特徴が表れていました。

一方で、欧米人旅行者は「ポケモン」「ドラゴンボール」「ジブリ映画」「美少女戦士セーラームーン」の回答が多く、フランス人回答者の4人中3人が挙げた「ナルト」はフランスでの認知度が欧米諸国の中で顕著に高く、「主人公のナルトが入浴する場面が印象的だった」と回答したフランス人女性は大阪で銭湯を探していました。

映画の認知度ランキング

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欧米人旅行者が日本を連想させる映画として最上位になったのは日本映画「バトル・ロワイアル」でした。2000年に公開された「バトル・ロワイアル」は暴力描写が過激すぎる物議を醸し出し、北米でのホームビデオ販売は禁止されていたという背景があります。ただ、2012年に公開された大ヒット作「ハンガーゲーム」との類似性が指摘されると、「バトル・ロワイアル」も10年以上越しにDVDとブルーレイが販売されたことで、リバイバルヒットになりました。

日本の有名ホラー映画「リング」と回答した全員がアジア人女性、北米映画で原案になった黒澤明監督作「七人の侍」は欧米で認知度が高い傾向がありました。

中山美穂が主演した日本映画「ラブレター」は1999年に韓国でも公開され、劇中に出てきた「お元気ですか?」という言葉が韓国で流行語になるほどの大ヒット作になりました。「ラブレター」は15年以上前にリリースされたこともあり、回答は30代の男女からでした。

ドラマの認知度ランキング

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映画を回答した旅行者の過半数が欧米人だったのに対して、ドラマを回答した旅行者の全員がアジア出身でした。アジアと欧米では「日本」を連想するエンタテイメント作品のジャンルに大きな違いがありました。また、アニメや映画に比べて、ドラマは回答数が偏る傾向があまりなく、視聴されている作品は様々でした。

ドラマの内容だけでなく、「5→9〜私に恋したお坊さん〜」は女優の石原 さとみ、「イタズラなKiss」は俳優の古川 雄輝のビジュアルが中国人視聴者を魅了しているようでした。

「東京ラブストーリー」は中国語で「東京愛情故事」、略して「東愛」と呼ばれて親しまれており、中国で放映された1995年前後から20年ほど経った今でも覚えられている名作でした。

アジア人旅行者は海外の違法ストリーミングサイトなどで日本のドラマが視聴している場合が多く、海外で公式に放映されていなくても日本のコアなファンが日本のドラマを知っているケースも少なくありませんでした。

その他

その他

アニメ・映画・ドラマ以外にも、音楽やビデオゲームなどのジャンルの回答もございました。

近年、ユーチューバーと呼ばれる自作で撮った動画をアップロードし、視聴者を集めている人が増えています。アジア系アメリカ人女性は「YouTubeチャンネルの「ジャパノロジー」を視聴しており、海外で日本文化を知るのに役立っている」との回答もありました。海外に日本の情報を発信するYouTubeチャンネルが増えれば、海外にいながら日本を身近に感じ、訪日意欲に繋がると予想されます。

Q2. 「日本」にまつわるエンタテイメント作品を視聴して、実際に日本で行った場所もしくは今後行きたい場所はありますか?

エンタメ2エンタテイメント作品の影響で「実際に行った場所がある」と回答した人の過半数は欧米人旅行者だったのに対し、「実際に行ったことはないが、行きたい場所がある」と回答した人の過半数はアジア人旅行者でした。

滞在期間が長い傾向の欧米人旅行者は東京と大阪の両方を巡り、大都市圏付近のロケ地に足を運んでいる傾向がありました。ただ、滞在期間が短い傾向のアジア人旅行者は行きたい場所に東京近郊や地方を選んだものの、次回に先延ばしする傾向がありました。

実際に行った場所(今回の訪日で行く予定の場所も含む)

実際行きたい場所

実際に行った場所として最も人気だったのが「三鷹の森ジブリ美術館」でした。イギリス人男性は「多言語対応は乏しかったが、十分に楽しめる内容だった」と絶賛していました。

次いで、去年の大ヒット映画「君の名は。」はアジア人旅行者が聖地巡礼しており、登場人物の女子高生・宮水三葉の自宅が舞台になった岐阜県・飛騨高山ではなく、男子高校生・立花瀧の自宅が舞台になった東京・四ツ谷に訪れる傾向がありました。マレーシア人女性は「映画に出てくる東京の電車がとても印象的だった」と回答し、飛騨高山よりも東京の方が印象に残っているようでした。

2003年に公開されたハリウッド映画「ロスト・イン・トランスレーション」の舞台になったパークハイアット東京の52階のニューヨーク・バーは30代の欧米人女性が実際に訪れていました。イギリス人女性は「映画の一部分に入り込んだ気分だった」と回答し、カメラマンの夫に付き添って来日した若妻のシャーロットが東京で言葉も通じず孤独を感じ、同じホテルに滞在するハリウッドのベテラン俳優のボブ・ハリスにホテルのバーで出会い、恋心が芽生えるまでに発展した映画のシーンに入り込んだ気分になっていました。

日本にまつわるエンタテイメントとは関連性はありませんが、K-POP人気の影響により、東京・新大久保のコリアンタウンに行ったイギリス人女性とスウェーデン人女性がいました。韓流ドラマ「コーヒープリンス1号店」に似せたつくりの新大久保の「コーヒープリンス 3号店」はイケメン男性しか雇わないことで知られ、外国人女性に人気なのもうなずけます。

今後行きたい場所(過去に行った場所は除く)

行きたい場所75

今後行きたい場所に地方の名前が多く、認知度はあるが行っていない現状がありました。

「スラムダンク」の聖地巡礼に行きたい観光客は中国人と台湾人の観光客に多く、アニメのオープニングの舞台になった江ノ島電鉄「鎌倉高校前」の駅のそばにある踏切が有名な巡礼地として知られています。

2008年に上映された中国のラブコメディー映画「非誠勿擾」のロケが行われた北海道東部の美しい景観を一目見ようと訪れた中国人観光客が一時急増したとも言われています。中国人観光客が北海道に行く際に連想する映画であると思われます。

「名探偵コナン」の舞台で様々な場所が選ばれている中で京都や富士山に行きたいと答えた中国人と台湾人の観光客がいました。ただ、作者の出身地にある鳥取県北栄町の青山剛昌ふるさと館などの観光地への訪問意欲には繋がっていない様子でした。外国人観光客が主に訪れる都市部から遠く、「コナンの里」構想で町おこしに取り組む北栄町の認知度はまだあまり高くないのかもしれません。

他にも「崖の上のポニョ」の舞台は広島県福山市の鞆の浦として知られていますが、その映画を視聴したカナダ人女性は日本の海岸風景を気に入り、「海岸沿いをドライブしたい」との回答がありました。視聴者は映画とその舞台となる特定の地域が必ずしも関連づけているとは限らないことが分かりました。

全体のまとめ

スウェーデン人の30代女性は「日本で10年以上前にヒットした作品はまだ欧米で根強い人気がある」と回答したり、シンガポール人の20代女性は「小中高は日本のドラマや音楽が流行っていたが、今では学生が韓流ブームで韓国に興味を持つ人が多い」と回答したりと、去年大ヒットした「君の名は。」を除くと、近年リリースされた外国人観光客が知っている日本にまつわるアニメや映画は少ない印象でした。アジア各国の韓流ブームにより、今後の海外旅行需要をリードするアジアの学生は日本のアニメ・映画への関心が薄れ、旅行先に日本ではなく韓国を選ぶ人が今以上に増えていくことも予想されます。

また、ザ・タイムズ紙は、中国政府が上映される海外の映画に年間最大34作までのクオータ(輸入制限)を設定しており、コ・プロデューサーに中国人のパートナーを選任することでその制限を回避できると報じています。そのため、キャストに中国人、ロケ地に中国、中国に対するネガティブな描写の禁止などの条件が加えられるため、今後もハリウッド映画のプロデューサーは日本よりも中国を映画のロケ地として選ぶと予想されます。制作費に1.60億ドルをかけた映画「ウォークラフト」はアメリカでの公開最初の週末の興行収入が0.25億ドルも満たなかったのに対し、ウォークラフトの熱狂的なゲームファンが多い中国ではオープン最初の5日間で1.56億ドルを売り上げるなど、全映画の世界興行収入の17%を占めると言われる中国は映画業界にとって無視できない収入源になっています。

そのため、日本はロケ地誘致を積極的に行いながらも、去年の大ヒット作「君の名は。」のように日本から海外へエンタテイメントを発信する今以上に必要になっていくと思われます。

写真:大阪・難波での調査風景

Dotonbori以上、外国人観光客100人が選んだ日本にまつわるエンタメのランキング結果をお届けしました。

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